一緒に食事をする相手に不快な思いをさせないためにも守るべき食事のマナーを、子どもにしっかりと身につけてほしいと考えるパパ・ママは多いでしょう。しかし、いくら「食事中に席を離れてはいけないこと」や「きれいに食べること」の必要性を教えても、子どもに伝わっていないのではと感じることがあります。「集団生活を送るうえで必要なこと」と説明しても、社会を経験してからでないと共感しにくい話なので、悩むところです。
そこで、子どもに食事のマナーが身につく方法として提案したいのが、「我が家のマナー」を決めることです。家族でどのような食事の時間にしたいかを話し、考える機会を作れば、幼児でも主体的に取り組めるようになります。今回は「我が家のマナー」の作り方や、決めるときのポイントを紹介します。
子どもはマナーの大切さを、まだ理解できない年齢
マナーの大切さは、さまざまな経験を積み、社会性を身につけてはじめて理解できるものです。でも、幼い子どもが社会経験を積むのはこれから。「食事のマナーを守りなさい」と言われても、意味の分からないルールを強要されているような状態になってしまいます。「守りなさい」と教え続けるだけでは理解し受け入れるまでに時間がかかるため、指摘された直後は従っても、時間が経つと同じような行動を繰り返してしまうのです。
子どもと一緒に「我が家のマナー」を作りたい理由
とはいえ、幼児はマナーを守れないというわけではありません。3歳頃までは自制心を司る前頭前皮質が発達していないので、我慢することが難しい面もありますが、4歳以降はきちんと説明すればルールを理解できる子も増えます。ただ、「きちんと説明する」のが一番難しい課題なので、分かりやすくするために、家族で守るべきルールとして「我が家のマナー」を作るのです。知らないところで決まっていた「他人事」ではなく、自分たちで考えて決めた「自分事」にすれば、難しい説明がなくても受け入れやすくなります。
また、マナーを身につけやすくするためには、ルールを明確に定めておくことも大切です。「明確にすると、その他の行動への制限がなくなり、食事中に身勝手な振る舞いが増えてしまうのでは? 」と思うパパ・ママもいるでしょう。ところが、「我が家のマナー」をしっかりと決めておく方が、子どもは「ここまではやってもいい」という安心感を得られ、自主的に動けるようになるのです。やっていいこととダメなことの境界線が曖昧だと、どこまでやっていいのか分からず不安になったり、大人が何を言っても聞かなくなってしまうので注意しましょう。
「我が家のマナー」の作り方
「我が家のマナー」を作るときは、パパ・ママだけで決めてしまうのではなく、必ず子どもを話し合いの場に参加させてください。そして、話し合いの中では我が子を肯定的に認めて、その意見にも耳を傾けましょう。子どもは安心でき、失敗しても許される環境にいるときの方が、新しいことにチャレンジできます。自信を持って考えを口にできるような場を作るのがマナーを身につける第一歩だと覚えておきましょう。そのためにも、この話し合いでは、次の二つを意識して会話をしていきましょう。
- どのような食事の時間にしたいか
- それを実現するためにはどのような食事のマナーが必要か
このように自分たちの理想を叶えるために、どのようなマナーが必要なのかを考えていけば、子どもでも理解しやすくなります。そして、マナーを決めた延長でそれを守ることも家族の共同作業にしていけば、子どもにも責任感が芽生えてくるのです。