『今が旬!栄養満点、ほうれん草を食べましょう』~子どもと一緒に食を考える #27

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『今が旬!栄養満点、ほうれん草を食べましょう』~子どもと一緒に食を考える #27

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

緑黄色野菜の中でも、栄養価が高いことで知られているほうれん草は、まさに今が旬の食べ頃です。多くの女性が悩まされる貧血の予防に重要な鉄や鉄の吸収を高めるビタミンC、造血に働くといわれる葉酸などを豊富に含んでおり、また便秘解消にも効果があるといわれています。今回は、ママだけでなく家族全員で食べてほしいほうれん草の魅力とおいしさについて迫ります。

ほうれん草の歴史はペルシャから

ほうれん草はカスピ海西部のペルシャ地方(現在のイラン付近)を原産とし、北アフリカを経て、12世紀頃にヨーロッパに伝わりました。東アジアにはシルクロードを通って広まり、7世紀頃に中国に伝えられました。日本には17世紀頃の江戸時代に、中国からほうれん草が長崎に伝えられたようです。中国語でペルシャを「ホウレン」と呼んでいたことが、日本語名の由来になっています。

ヨーロッパに伝わったタイプは西洋種と呼ばれ、日本には江戸時代末期にフランスから届けられましたが、当時の西洋種はアクが強いことからあまり好まれず、中国から伝わった東洋種が主流を占めていました。ただ明治時代まではほうれん草は高級品として扱われており、広く一般に普及したのは大正時代になってからです。そして昭和に入り本格的な栽培が始まった後に、東洋種と西洋種をかけあわせた交配種が誕生し、栄養価の高い冬野菜として人気を得るようになりました。

ほうれん草の主な産地とその種類

現在のほうれん草は、なんと中国が90%近い生産量を誇り、次いでアメリカ、日本となっています。国内では千葉県で最も多く生産されており、次いで埼玉県、群馬県が並びます。中国から伝わった東洋種は、葉が深い切れ込みを持ち、薄くて柔らかく、根が赤いという特徴があります。アクであるシュウ酸が少なく、葉ざわりも良いことで知られます。一方の西洋種は、葉は肉厚で丸みがあり強いアクを持ちますが、病害虫に強いという特徴がありました。

現在の主流となっている交配種は東洋種と西洋種の特性を生かして作られたもので、丈夫で育てやすく、えぐ味が少ないため食べやすい品種として人気があります。また新たな品種として水洗いだけで生で食べられる「サラダほうれん草」や、寒気にあてて生育させる“寒じめ”と呼ばれる栽培方法で育てられることにより、強い甘みと厚い葉を持った「ちぢみほうれん草」などが開発され食卓をおいしく彩っています。

ほうれん草の豊富な栄養素

ほうれん草には、β-カロテンやビタミンB群、ビタミンCが豊富に含まれており、のどの粘膜を丈夫にし細菌感染を防ぐ働きを持つとして、風邪の予防に最適であるといわれています。レモンの2倍のビタミンCや、造血に必要な鉄や葉酸も豊富に含まれています。貧血の改善に役立つ鉄分が多い野菜としても有名で、卵などの動物性たんぱく質と一緒に食べると効率よく鉄が体内に吸収されるので、ママが貧血に悩んでいるなら積極的にほうれん草を勧めてみましょう。

これらの栄養素は若々しい美肌づくりにも欠かせないものですし、さらに食物繊維も豊富で便秘解消にも高い効果を発揮してくれる、まさに女性のための野菜ともいえます。もちろんパパにも、子どもにも嬉しい栄養素ですから、家族全員の健康促進に役立つ素敵な野菜なのです。

ほうれん草のおいしい食べ方

次はほうれん草のおいしい食べ方の紹介です。ほうれん草は、全体にピンとしたハリがあり葉が厚く緑色が濃いものが良品です。茎が太く、根本の株がふっくらとしていて赤みのあるものを選ぶようにしましょう。茹でる際は、短時間で茹でることがポイントです。一度に大量に鍋に入れると、熱湯の温度が下がってしまうため、よく沸騰させた熱湯で少量ずつさっとゆで、冷水にとって急激に冷まします。根本の赤い部分は糖質が多く甘みがあり、骨を形成するために必要なマンガンが多く含まれています。特に旬のこの時期の根本部分は甘みが強く栄養価も高いため、残さず食べるようにしてくださいね。

ビタミンCなど栄養素が減少するので早めに食べきり、冷蔵保存する時は乾燥しないようぬれたペーパータオルなどで包みポリ袋に入れ、野菜室に立てて保管します。長く保存する場合は、さっと茹でてから小分けにして冷凍保存にしてください。また、アクの主成分で栄養素の吸収を阻害するといわれているシュウ酸は水溶性のため、さっと茹でることによって抜くことができるので、ほうれん草の調理の基本は素早く茹でることと覚えておきましょう。

では、この機会に旬のほうれん草をおいしく楽しめるおすすめのメニューもお伝えしましょう。

常夜鍋(ほうれん草と豚肉の水炊き)

ほうれん草と豚肉(薄切り)をシンプルな水炊きで楽しむお鍋料理です。大根おろしタップリのポン酢に、茹であがったほうれん草と豚肉を浸していただきます。栄養価の高いほうれん草に加え、動物性たんぱく質の豚肉も高い栄養価を持っているので冬場の健康メニューとしても最適です。準備も簡単で手間いらずで、ママにもうれしい逸品といえますね。

ほうれん草の胡麻和え

茹でて冷水でしっかり締めたほうれん草に胡麻を和えたシンプルな料理ですが、その栄養価はママの美容に最適な逸品といえます。ほうれん草が持つ豊富なβ-カロテンとビタミンCは、胡麻が持つビタミンEが加わることで体内での吸収率が格段にアップするのです。肌の乾燥防止や目のまわりのクマや小じわ対策に高い効果が期待できますよ。

ほうれん草のポタージュスープ

とうもろこしや南瓜のポタージュは馴染があるけれどほうれん草は?と思っている方もいるかもしれません。まずはひと口、食べてみてください。その穏やかな甘みと心地良い食感が、ほうれん草の魅力をしっかり伝えてくれるでしょう。そして豊富な食物繊維が快適なお通じへと導いてくれます。

家族で旬のほうれん草を楽しみましょう

ママはもちろんパパにもお子さんにもうれしい栄養素がタップリのほうれん草の魅力、いかがでしかたか。今回、ご紹介した3つのお料理以外にもほうれん草を楽しむレシピは盛りだくさんです。カレーのトッピングにも人気がありますし、キッシュなどはクリスマス料理にもお似合いです。今が旬のほうれん草をさまざまなレシピでおいしく食べて、家族の健康に役立ててくださいね。

【参考文献】

※ 『旬の食材~秋・冬の野菜~』| 株式会社講談社2004年刊

※ 『ミラクル・クッキング』| 株式会社三笠書房2001年刊

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