今回は転職エージェントと呼ばれる“人材紹介会社”と“人材派遣会社”の違いを徹底解説します。
同じ業界に属する人材紹介と人材派遣ですが、まったくと言っていいほど仕組みから仕事内容まで変わってきます。
人材紹介会社の転職エージェントと人材派遣会社のエージェント、どちらに相談するかでも転職に関するアドバイスが変わってきます。
人材紹介と人材派遣の違いをしっかり理解してから、サポートを受けるようにしましょう!
日々の仕事や慣れない育児で忙しいパパが転職を考えた時に、これらの会社の転職エージェントは重要なキーマンです!
①提供されるサービスによる違い
そもそも人材紹介会社と人材派遣会社では提供しているサービス自体が違います。
人材紹介会社はその名の通り、仕事を探している求職者を“紹介”するサービスであるのに対して、派遣会社は自社の社員を人手が足りてない会社に行かせて仕事を手伝わせるサービスです。
色々な手法で求職者を集めてきて、採用したい企業に紹介する紹介会社には2種類のお客様がいて、採用企業と求職者です。
一方、派遣会社は基本的に自社の社員を送り出すサービスになるので、お客様は採用企業(受け入れ企業)の1種類のみです。
人材紹介会社のサービス内容
人材紹介会社のサービスは、【求職者】と【採用する企業】、【人材紹介会社】が相関的な関係性を保ちながら成り立っております。
求職者に対するサービス
- キャリア相談・転職活動の相談
- 求人紹介
- 面接日程の調整・面接同行
- 条件交渉・内定後フォロー
採用企業に対するサービス
- 採用活動支援
- 求人要件の選定
- 求職者の紹介
- 内定後フォロー
人材紹介会社のサービス形態
人材紹介会社のサービスの形態は大きく2種類あり、登録型とサーチ型と言われております。これは採用支援を紹介会社に依頼する採用企業目線で区別されております。
求職者側からしたら受けれるサービスは同じで、登録型でもサーチ型でも、求人の紹介から転職活動全般をサポートしてもらえます。
登録型
- 自社のデータベースに登録している求職者から、企業に合う求職者を選び紹介してくれる
- 完全成功報酬で、採用するまで費用は発生しない
- 費用の発生タイミングは、求職者が入社した時
サーチ型
- 企業の希望に合う求職者を独自のネットワークを利用し開拓する(ヘッドハンティングする)
- 着手金+成功報酬がかかる
- 着手金は求人依頼時に1つの求人ごとかかる(1つの求人におき、30~50万円が相場)
- 成功報酬の金額が、登録型より高い
一般的な登録型の人材紹介は、入社が決まったら求職者の想定年収の30%が成功報酬の相場です。
年収400万円の方の転職が決まって、人材紹介会社がもらえる成功報酬額は120万円です。
これに比べて、サーチ型は着手金50万円+成功報酬額(45%)くらいの契約になることが多く、年収400万円の方が決まったら50万円(着手金)+180万円(成功報酬)で230万円の売上になります。非常に高収益ですね。
人材派遣会社のサービス内容
人材派遣会社は、自社の社員を人手が足りていない企業に派遣(ご紹介)し、お客様の仕事をしてもらうサービスです。
ですので、基本的にお客様は派遣スタッフを受け入れてくれる企業様のみです。
受け入れ企業に対するサービス
- 派遣スタッフの紹介
- 派遣スタッフの仕事状況の確認、フォロー
- 派遣スタッフへの賃金の支払い
人材派遣会社のサービス形態
人材派遣会社のサービスは“労働者派遣”と“紹介予定派遣”という2種類のサービス形態があります。
このサービス形態の違いは、派遣期間終了後に直接雇用を前提とするかしないかという点です。
派遣元企業が、現状とりあえずスタッフが必要だから派遣をお願いしている場合は“労働者派遣”で、ゆくゆくは自社の正社員として向かい入れたいという気持ちなら“紹介予定派遣”を使います。
労働者派遣
- 派遣期間中は企業が派遣会社に時間単価で報酬を支払う
- スタッフは派遣会社雇用(給料・社会保険は派遣会社負担)
- 派遣期間終了後は【更新】or【終了】を前提
紹介予定派遣
- 派遣期間は労働者派遣と同じ
- 派遣期間終了後に、派遣元企業での直接雇用を前提としている
- 派遣元企業は派遣期間中の時間単価に加えて、直接雇用するタイミングで紹介手数料を支払う
派遣は採用予算をあまりかけることができない職種や企業が特によく利用してます。
紹介予定派遣は、「いきなり人材紹介を使って採用するのは、すぐに辞められちゃうかもしれないから怖い」という企業が、雇用をすることなく働いてもらって様子を見れるから便利です。
②雇用契約による違い
人材紹介と人材派遣では、働く方の雇用元の会社が違ってきます。
人材紹介会社はあくまで間に入って、採用企業が直接雇用するのを支援するサービスです。ですので雇用元は採用企業です!
人材派遣会社は、自分たちで働く方を雇用して派遣元企業に行って働いてもらうサービスなので、雇用元は派遣元企業になります!
働く方から見たら、どこから給料が振り込まれるかという違いです!
③サービス利用料金による違い
働く方は人材紹介で採用企業を紹介してもらっても、人材派遣会社に雇用されて派遣元企業に働きに行っても、基本的にお金がかかることはありません。
ただし、働き方を受け入れる企業からしたら、人材紹介会社と人材派遣会社ではサービスの内容が全く違うので、かかる費用も異なってきます。
人材紹介会社のサービス利用料金
基本的には、成功報酬で採用する方の想定年収の30%
※人材紹介会社によって、想定年収の10%~20%の金額や、一律50万円という企業もあります。
大手では想定年収の○○%以下では企業と契約しないというガイドラインを決めている企業も多いです。
ただし人材紹介の会社の中には1,2人で運営している会社も多いので、このような小規模の人材紹介会社ならある程度は交渉可能です。
私が知る中では、一律20万円という非常に安価で採用支援を請け負っているところもありました。
人材派遣会社のサービス利用料金
基本的には時間単価を決め、派遣スタッフが働いた時間分の金額を、派遣元企業が人材派遣会社に支払います。
※業種や職種、また派遣スタッフのレベルによって、時間単価は大きく変わってきます。
事務や工場スタッフなら1200~2000円/時間、専門スタッフ(例:翻訳・調理スタッフ・管理栄養士)なら2000~3000円、システムエンジニアなら3000円~5000円とか
④働き方の違い
サービス内容が違うので、人材紹介会社での働き方と人材派遣会社での働き方も大きく違います。
私の経験では、未経験から人材業界を志望する人で、人材紹介と人材派遣の違いわからずを転職活動をしてしまい入社してからギャップを感じて早期退職をしてしまう方も多くいたと思います。
人材紹介会社での働き方(RA、CA、両面)
人材紹介での仕事内容は大きく3つで“仕入れ”、“求職者対応”、“法人対応”です。
仕入れ
仕入れはマーケティング部や広報部が担っていることが多く、WEBマーケティングや広告の運用などをして転職希望者を集める役割です。自社のデータベースに多くの転職希望者を登録させるために様々な施策を実施します。
求職者対応
求職者対応は転職希望者のキャリア相談に乗り、求人を紹介する役割を担うポジションです。キャリアアドバイザー(CA)と呼びます。
また仕入れ担当が登録させた転職希望者に連絡をするのも、キャリアアドバイザーの仕事です。
中小零細企業では仕入れ機能は整ってないところが多く、自社のデータベースがなかったり登録が少なかったりします。
このような会社は、他社のサービス(DODAやマイナビなどが人材紹介会社向けに提供してる求職者獲得サービス)を利用しているところが多いです。
ビズリーチやキャリアカーバー、マイナビエージェントサーチ、DODA mapsなど様々なサービスがあります。
簡単に言ったら、初期手数料や月額利用料、成功報酬を払い大手のデータベースを使わしてもらえるサービスです!
法人対応
法人対応は転職希望者に紹介する企業の開拓、企業とのやり取りを行うポジションです。リクルーティングアドバイザー(RA)と呼びます。
人材紹介会社に入ったら、まずは企業開拓のテレアポから始まるのが基本です!
人材派遣会社での働き方
人材派遣の仕事も大きく3つに分けることができ、「採用・マッチング」「新規営業」「フォロー」です。
採用・マッチング
「採用・マッチング」の仕事は、スタッフの採用をして、人が立ちてない案件に自社のスタッフを派遣できるようにする仕事のことを指します。
基本的には、転職市場の中から候補者を見つけ、自社で採用するので、一般企業の採用担当者に近しい仕事内容になります。
違いは自社の採用ペルソナではなく、会社が保有してる案件に対して求職者を見ていくというところです。
また派遣会社での採用は【採用=売上UP】となるので、このポジションにもインセンティブがあることが多いです。
採用ペルソナとは、採用したい具体的なターゲットの事を指します。
新規営業
「新規営業」は、自社のスタッフを派遣する派遣先企業を探す役割のポジションです。一般的な派遣会社では、テレアポから派遣先企業を探すことが多く、未経験で派遣会社の新規営業になったらテレアポから始まることが多いです。
また新規営業は契約を締結するところまでが仕事であり、派遣スタッフの労働条件や報酬金額を決めるところまでします。
フォロー
「フォロー」を担当する営業マンは大きく2つの役割があります。
➀既存派遣スタッフのフォロー/職場改善
②既存派遣元からの追加の求人依頼の獲得
人材派遣は人材紹介とは違い、人材紹介会社から派遣してお客様先に常駐しているスタッフは継続して働くことによって、毎月収益が上がるビジネスモデルです。ですので、派遣スタッフの【継続】が非常に重要になってきます。
派遣先企業が「もういらない」と派遣契約を切ってきたり、逆に派遣スタッフが「ここでは働けない」という不満を言ってくるのを防ぐために、両者のフォローが非常に重要になってきます。