時間外労働とは?働くパパなら知っておきたい知識(前篇)

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時間外労働とは?働くパパなら知っておきたい知識(前篇)

ヒヤマココロ

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小学生と保育園児を育てるワーママ。家事・育児・仕事を両立させる大変さを知っているからこそ、パパとママの家事育児バランスを考えた記事づくりを目指しています。子どもの幸せを叶えるためにも、身近な問題からひとつずつ一緒に解決していきましょう。

働くパパの中には、会社の労務規定を理解できていない人も意外と多いのではないでしょうか。自身の給与基準に答えられないどころか、残業は当たり前とさえ思っているようでは、家庭時間を大切にできているとはいえません。そこで今回は、最低限知っておきたい働く時間の定義や2019年4月に施行された時間外労働の法律について2回に分けて紹介します。

パパ自身が労務規定に関する知識を深め、家庭と仕事の両立を目指しましょう。

時間外労働・残業とは?働く時間の定義を理解しよう

そもそも労働時間は3種類の時間から構成されているので、それぞれの内容をしっかり理解しておかなければ、自身の給与計算や残業代が正しく支払われているのかを確認することもできません。まずは、3種類の労働時間における定義と内容をしっかり覚えていきましょう。

法定労働時間

法定労働時間とは、国が定めた労働時間のことです。労働基準法によって働く時間が制限されており『1日/8時間以内』『1週間/40時間以内』の労働が原則とされています。もし法定労働時間を超過した場合、労働者に対する割増賃金(残業代)の支払いが必要となります。

所定労働時間

所定労働時間とは、会社ごとに定められた就業時間のことです。決定権は会社にあり、国が定めた法定労働時間内であれば、自由に設定できます。

A社の場合

就業時間・・・8:30~17:30(休憩1時間)=所定労働時間:8時間

週5日勤務・・・8時間×5日間=週40時間

B社の場合

就業時間・・・11:00~19:00(休憩1時間)=所定労働時間:7時間

週5日勤務・・・7時間×5日間=週35時間

C社の場合

就業時間・・・9:00~16:00(休憩1時間)=所定労働時間:6時間

週6日勤務・・・6時間×6日間=週36時間

このように就業時間や1週間の勤務日数は、会社ごとに自由に設定できますが、いかなる場合であっても法定労働時間以内の勤務を遵守するよう法律で定めています。

時間外労働

時間外労働とは、会社ごとに決められた所定労働時間を超過した時間のことです。いわゆる『残業』と呼ばれる時間であり、多くの会社で通常賃金に加えて残業手当が支払われます。また残業手当=割増と認識している労働者が多いようですが、各会社ごとの計算式が違うため、支払額も異なっているのです。

「どんなに残業しても割増賃金が出ない」と思っている人は、法定労働時間と所定労働時間が関与する割増賃金の仕組みを理解しておくのがよいでしょう。

図を見れば、時間外労働=割増賃金発生ではないことが分かりますよね。割増賃金は法定労働時間(1日=8時間・1週間=40時間)を超過した時間に対して支払われる手当であり、通常の1.25~1.5倍の額を加算するよう労働基準法で定めてあるのです。ただし、会社の規定によってはそもそも残業代が発生しないケースもあるので、パパ自身の勤務先の就業規則を入念にチェックしておく必要があります。

休日労働したらどうなる?支払賃金への影響とは

働くパパの中には、休日労働を強いられる状況も起こりうるのではないでしょうか。そもそも労働基準法では、労働者の心と体の健康維持を目的として『1週間に1回』もしくは『4週間を通じて4日以上』の休日取得が定めてあり、この休日を法定休日といいます。また、法定休日とは別に企業が定めた休日を法定外休日といい、これら2種類の公休に働くことを『休日労働』というのです。休日労働は時間外労働として分類されており、労働者には以下のとおり割増賃金が発生します。

条件 割増率
法定時間内残業 所定労働時間を超えたとき 通常賃金
法定時間外残業 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき 25%以上
休日労働(法定休日) 法定休日(週1日)に勤務したとき 35%以上
休日労働(法定外休日) 法定休日の日数を上回る公休 25%以上

表から分かるとおり、休日労働は時給換算した賃金の1.25~1.35倍の金額が支払われます。もしもの場合に備え、パパ自ら給与計算できるよう基本の計算式を覚えておきましょう。

基本の計算式・・・休日労働賃金=時給×1.35×労働時間

参考

時給1,500円の労働者が、9:00~18:00(休憩1時間)で勤務した場合

通常勤務・・・1,500円×1×8時間=12,000円

休日労働・・・1,500円×1.35×8時間=16,200円

このように休日労働をすると賃金増加が見込めますが、だからといって仕事ばかりするのは決しておすすめだとはいえません。大切な家族との時間が失われるどころか、パパの心身の健康までも危ぶまれるからです。

労働者が仕事に固執せず、家庭やプライベートの時間を確保できるようにするため、日本では2019年に働き方改革が打ち出されて労働基準法の一部が改正されました。ここからは、改革に基づく法改正の内容について知識を深めていきます。

2019年4月の法改正で時間外労働を規制へ

労働者の時間外労働は、これまで行政から指導されるのみで上限がありませんでした。しかし、長時間労働は健康維持や家庭と仕事の両立を困難にさせるものであり、パパの育児や家事への参加をはばむ原因として改善を求める声が寄せられるようになったのです。このため、労働基準法の改正とともに、時間外労働の上限が法律内に規定されました。

まず、2019年4月に規定された時間外労働の上限は原則以下のとおりであり、特別な事情がない限り超過できません。

ひと月・・・45時間

年間・・・360時間

ちなみに、この上限時間に休日労働は含まれず、1日あたりの残業は2時間程度が目途になります。さらに、いかなる事情があったとしても、以下を超えた時間外労働をすることはできません。

ひと月・・・100時間以内(休日労働ふくむ)

月平均・・・80時間以内(休日労働ふくむ)

年間・・・720時間以内

尚、原則である月45時間を超えた労働ができるのは、年間6ヶ月までです。これらの上限を厳守するためには、日頃からしっかりと勤怠管理する必要がありますよね。パパの時間外労働をできる限り少なくし、健康と家庭時間を確保できるよう留意していきましょう。

バランスのとれた働き方で家族との時間を大切にしよう

残業・時間外労働について理解できましたでしょうか。労働基準法では、私たちの心身と生活を守るために、細かく時間・賃金の割増率が設定されています。だからといって「残業しても手当が出るから大丈夫!」というわけではありません。法改正された目的のひとつである家庭と仕事の両立を意識し、どうしても仕事が終わらないときは働く!休めるときは休む!というメリハリをつけて働くことが大切なのです。

普段何気なく働いているパパは、一度生活スタイルを振り返ってみてください。バランスのとれた生活ができれば家族との時間も確保され、心も身体も豊かな生活を送れるようになりますよ。

【参考文献】
労働基準法|e-Gov法令検索

しっかりマスター労働基準法|東京労働局

時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

時間外労働の上限規制|厚生労働省

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