『今、注目!家族で楽しみたい多彩なアフリカ料理』~子どもと一緒に食を考える #14

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『今、注目!家族で楽しみたい多彩なアフリカ料理』~子どもと一緒に食を考える #14

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

アフリカと聞けば、どんなイメージが浮かびますか?大自然、ジャングル、ピラミッド、沙漠……。私たち日本からも遠く、馴染みの少ない大陸ですが、魅力一杯の地域でもあるのです。そんなアフリカへの理解促進を図る目的の日が5月25日の「アフリカ・デー」になります。毎年、各地でアフリカ文化に触れるイベントなどが開催されています。そこで今回の食のお話はアフリカのおいしい料理にスポットを当てます。子どもと一緒に家族で楽しめるメニューに注目です。

「アフリカ・デー」の由来はO・A・Uの発足から

1963年(昭和38)の5月25日に、アフリカの統一と連帯の促進、独立の確保、人々の生活向上を目的に31ヶ国が参加しアフリカ統一機構(Organization of African Unity)通称O・A・Uが発足しました。その後、2002年(平成14)にアフリカ連合(African Union)通称AUとなり、欧州連合(EU)をモデルに、アフリカ諸国の政治的・経済的・社会的な統一を目指して活動を続けています。この発足日を記念して「アフリカ・デー」と銘打たれ、世界中でアフリカへの理解促進、文化交流をテーマにさまざまな取り組みが行われているのです。

赤道を中心に南北に拡がるアフリカ大陸は、各エリアで地形や気候も大きく異なり、採れる食材も違うため食文化も多彩です。まずは大陸の上側、北アフリカのおいしい料理から見ていきましょう。

モロッコのおいしい蒸し料理「タジン鍋」

地中海に面し気候は温暖で農産物も豊富な北アフリカには、モロッコやエジプト、チュニジア、アルジェリアなどの国があります。この地域の特長ある料理と言えば、日本でも話題になった「タジン鍋」です。陶器で作られた円錐形または半円ドーム状の蓋を持つ土鍋で作る蒸し料理で、煙突のような蓋と言えば、イメージしやすくなるでしょう。

肉や魚と野菜にシナモン・サフラン・ウコン・パプリカ・クミンなどの香辛料を加えて蒸し上げ、オリーブ・蜂蜜・林檎・杏などを混ぜて作ったソースをタレにして食べるスタイルが一般的です。モロッコを代表する料理で、近隣のチュニジアやアルジェリアにも浸透しています。日本でもお目にかかる機会が増え、ヘルシー志向の女性を中心に人気が高まっていますし、家族みんなで楽しむメニューとしてもおすすめです。

南アフリカならではのミートローフ「ボボティー」

古くから住む多数の民族が混在する南部アフリカは、食文化もさまざまですが、バーベキューや干し肉といった肉料理は各国に浸透しているようです。モザンビーク、ボツワナなどの国があるこのエリアを代表する料理といえば、南アフリカ共和国の「ボボティー」でしょう。ひき肉にナツメグやシナモン、ターメリックなどのスパイスを混ぜ込み、卵黄をかけ、アーモンドをまぶしてオーブンで焼き上げます。言わば、カレー風味のミートローフのような感じです。

辛くもあり、甘くもあり、ヨーロッパやアジアからの移民がもたらした各国の食文化が融合したこの料理は南アフリカ共和国の国民食として定着しています。まさに多民族国家そのもののような料理です。子ども達には、カレー味のハンバーグと例えてあげれば、より興味を覚えますよ。

インドから伝わり定着した東アフリカの「チャパティー」

インド洋に面した沿岸部と大陸中心に近い内陸部では気候も食文化も大きく異なっているのが東アフリカのエリアです。内陸部では牧畜も盛んで、食肉用としてではなく牛乳を収穫することが主体で、農耕に従事する民族も多く存在しています。そんな東アフリカの代表的な料理といえば「チャパティ」になります。

インドから伝わったこの料理は、ナンの親戚とも呼ばれるもので、薄いクレープ状に仕上げられたパンになります。カレーやシチューのお供として食されたり、そのままパン感覚で食べられています。ナンはタンドール(壺釜型オーブン)がないと焼けませんが、チャパティはフライパンなどでも焼ける簡便性が受け、このエリア一体に定着していったようです。子どもと一緒に、おうちで焼いてみるのも楽しい時間になりそうですね。

オコゲが人気!!西アフリカの「チェブジェン」

大西洋やギニア湾に面する西アフリカは、ヨーロッパの食文化の影響を強く受けており、ガーナやセネガル、ギニア、ナイジェリアなどの国があります。落花生や唐辛子、そしてトマトが各国共通で多用されるのが特長です。中でもセネガルの料理はアフリカ料理の中でもっとも洗練されているといわれており、その中心的存在が「チェブジェン」という米料理になります。

パエリアやピラフに似た料理で、現地の言葉で「チェブ=米」「ジェン=魚」の意味になります。具となる魚と野菜(ナス、キャベツ、ニンジン、ダイコン)をトマトと魚の煮汁の出汁で煮込み、そこにインディカ米を加えて仕上げられます。鍋底にできるオコゲが好まれるのは日本同様で、パパ・ママから子どもにも親しみが持てそうな料理です。

世界最小のパスタ「クスクス」

「タジン鍋」「ボボティー」「チャパティ」「チェブジェン」と各エリアを代表する料理を紹介してきましたが、アフリカ発祥の料理で世界中に広まっている有名な料理を最後にご紹介しましょう。食べた経験のあるパパ・ママも多いのではないでしょうか。そう「クスクス」です。元は、モロッコやチュニジアの郷土料理でしたが、今や、アフリカ諸国だけでなく、アラブ諸国からイタリア・フランスをはじめとする欧州各国、そしてアメリカやブラジルでもポピュラーな料理として定着しています。

その小さな形状から雑穀の一種と思われがちですが、実はデュラム小麦を原料とする世界最小のパスタなんです。当初は、蒸したクスクスにバターを絡めるだけの素朴な料理でしたが、各国に伝播し、さまざまな調理法により、各国ならではのレシピが生まれていきました。ではおうちでも比較的簡単に作れ、子どもも喜ぶおいしいクスクス料理を3品ご案内しましょう。

クスクスサラダ

茹でたクスクスに玉ねぎ・レタス・きゅうりなどのお好みの生野菜を1cm角くらいに切って混ぜ合わせます。仕上げはお好みのドレッシングで和えれば出来上がり。ヘルシー感満載のサラダで、クスクスの心地良い食感と野菜のシャキシャキ感が楽しめる逸品です。

サーモンソテーとクスクスのサフラン風味

茹でたクスクスを水でもどす際にサフランを加えて色づけしたものをお皿に盛りつけます。レモンバターソースでレアに焼いたサーモンを上にのせ、焼き汁もたっぷりかけて仕上げます。サーモンの香ばしさと、サフラン風味のクスクスがお口の中で絶妙のハーモニーを奏でてくれます。ソースをたっぷり使うのがコツです。

子羊のローストとクスクスサラダ

最初に紹介したクスクスサラダを皿に盛りつけ、じっくりとオーブンで焼き上げた子羊のローストをのせて楽しむ逸品です。こちらもローストした肉汁をたっぷりかけて食べるのがおすすめです。クスクスの食感とロースト肉の甘みがベストマッチで、やみつきになるかもしれませんよ。

魅力一杯のアフリカの郷土食を子どもと楽しんでみましょう

欧米諸国に比べて、馴染みの薄いアフリカですが、食文化の面から接すれば、私たちにも魅力的な料理がたくさんあります。クスクスやタジン鍋は、おうちでもすぐに楽しめそうなメニューですから、ぜひパパ・ママが率先して子どもと一緒に食べてみてくださいね。アフリカの食文化に触れ、世界へ目を向ける第一歩にするのも大切な食育の1つになることでしょう。

【参考文献】

※『世界の食文化(11) アフリカ』| 社団法人・農山漁村文化協会2004年刊

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