『おせち料理の定番!黒豆のおいしさと魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #28

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『おせち料理の定番!黒豆のおいしさと魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #28

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

近づくお正月に向けて黒豆を用意し始めるご家庭も多いことでしょう。正式名称は黒大豆といい、“畑の肉”と呼ばれる大豆の中の一種です。おせち料理のイメージが強い黒豆ですが、お正月に食べるだけではもったいない素敵な栄養を多く持っている食材なんですよ。そこで今回は、新年を前に黒豆が持つ豊富な魅力に迫ります。

平安時代から食べられていた黒豆

黒豆の起源は定かではありませんが、古くは「倭名類聚抄」(935年)に当時の食品として鳥豆(クロマメ)が記載されいることから、平安時代には栽培されていたと考えられています。やがて戦国時代には戦場での非常食として黒豆を主原料とした自家製の丸薬「兵粮丸(ひょうろうがん)」などに利用されていました。

江戸時代の文化二年(1805年)の「本草綱目啓蒙」には「和名に大豆と呼ぶは味噌豆の事にて黄大豆なり。薬方に大豆というは皆黒大豆にして黒豆の事なり」と記載されており、黒豆の高い栄養価は薬としても重宝していたようです。その後、江戸時代後期になり砂糖が庶民の生活にも浸透してくると、黒豆を醤油や砂糖で煮た煮豆をお節料理として食べることが一般に広がったのです。

幕末の「絵本江戸風俗絵図」には「江戸中、家々あらゆる如何なる貧苦の者にても正月元旦・二日・三日の三朝、屠蘇(とそ)はくまざるも雑煮の調えなきはなし… 重詰の品は座禅豆(黒豆)、田作(ごまめ)、数の子の三重なり」と記載され、黒豆がお節料理として定着していたことが確認できます。

黒豆の豊富な栄養素1

では黒豆の豊富な栄養素を紐解いていきましょう。まずはたんぱく質です。血や筋肉を作る源となる栄養素で、体内に吸収されると分解され、コラーゲンやほかの組織として再構成されます。コラーゲンの生成にはビタミンCが必要なため、ビタミンC含有量の多い食品と組み合わせて食べるのがおすすめです。

次にカルシウム。こちらは人体に一番多く含まれているミネラルで、骨や歯を構成する成分として知られているいます。不足すると骨がもろくなる骨粗しょう症の原因にもなってしまうので普段からこつこつとりたいミネラルです。パパ・ママの健康のためにもお正月だけでなく、普段から黒豆は食べておきたい食材といえます。

そしてカリウムも女性には嬉しい栄養素です。カリウムには体内の余計な塩分を排出してくれるはたらきがあるためむくみ解消に役立ちます。外食が続いたときや、調理済み食品をよく食べるパパにもおすすめしたい栄養素です。 ただ、カリウムは水溶性のため、煮たり茹でたりすると水に溶けだす性質があります。無駄なく摂り入れるには、黒豆茶や煮汁ごと調理する黒豆ご飯などが有効です。

黒豆の豊富な栄養素2

黒豆にはまだまだ嬉しい栄養素があります。赤血球に含まれるヘモグロビンの材料になる鉄分も豊富です。 体内の鉄分が減少するとヘモグロビンが低下し、酸素の供給が低下することから疲れやすさ、頭痛、息切れなどの鉄欠乏性貧血の症状があらわれます。 特に女性は妊娠や出産、月経などにより鉄が失われる機会が多いため、しっかりと鉄分をとる必要があるので、ママに最適な食材といえるでしょう。

そしてもう一つ、ママに嬉しい栄養素が食物繊維です。便秘は便通がスムーズにいかないだけでなく腸内で有害物質が生成されるので、下腹部の不快感やお腹のはり・腹痛などを引き起こす原因になります。食物繊維を多く含む黒豆を積極的に食べることは便の量を増やし、排便リズムを回復させてくれるので、便秘解消に役立ちますよ。

そして最近の話題の成分でもあるアントシアニンも黒豆は豊富です。こちらはポリフェノールの一種で抗酸化力が非常に強く、もともとは植物が紫外線によるダメージから自分の体を守るために蓄えられる物質です。黒豆の黒い色はこのアントシアニンを含んだことによるものです。 アントシアニンは、疲れ目を改善する成分として有名ですが、血糖値の上昇を防ぐ働きがあることも分かっており、パパにもぜひ食べてもらいたい食材なのです。

ママに教えてあげたい黒豆の茹で方

では黒豆の茹で方の基本を確認しておきましょう。まず乾燥黒豆をさっと水洗いし、汚れを落としてから鍋に入れ、約6倍の水で7~8時間戻します。150gの黒豆なら、900ccの水に浸す形です。この寒い時期なら、常温でOKですからキッチンにひと晩置いておくことで大丈夫です。夏場は冷蔵庫に入れ戻してください。

戻したら、水量の約0.5%の塩を加えます。真ん中に十文字に切れ目を入れたクッキングシートで落とし蓋をし、加熱スタートです。沸騰したら、ごく弱火にして好みの柔らかさになるまで茹でていきます。(30分で硬め、60分~120分で柔らかにに仕上がります) ※途中で様子を見て水気が少ない場合は追い水をして調整しましょう。

茹であがれば加熱を止め、蓋をしたまま20分程余熱で仕上げて完成です。

◯パパキャリ流のお手軽スタイル

◇その日に少量だけ使いたい時に便利な方法です◇

500cc容量の魔法瓶に熱湯を入れ水洗いした黒豆30gを加えて4時間おくだけ。

昼食後に準備すれば夕食時にも間に合うお手軽スタイル。お試しくださいね♫

家族でおいしい黒豆を楽しみましょう

黒豆の素晴らしい栄養素のお話、いかがでしたか。 縁起物としてお正月に食べるだけではもったいないほどの魅力を持つ黒豆。ぜひ普段の食生活にも黒豆を取り入れて、家族皆でおししく楽しみながら健康に過ごしてくださいね。

【参考文献】

※『丹波篠山、黒豆、小田垣商店』| 株式会社小田垣商店2021年刊

 

 

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