産まれてくる赤ちゃんのために会社を休みたい!という将来のパパへ。男性が育休を取得することは、まだまだ日本では浸透していません。取得率は7.48%です。しかし、育児・介護休業法の改正法によって2022年から変わろうとしています。新制度で取得しやすくなるのか詳しく説明します。
「男性版育休」とは
「男性版育休」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。2021年6月、改正法が成立した育児・介護休業法で、男性が育休を取得しやすくなるように制度が大幅に充実したことで、このように呼ばれています。9月21日に閣議決定され、令和4年4月1日から「男性版育休」は段階的に施行される予定です。そもそも育児・介護休業法とは、どんな法律なのでしょうか。ここでは、その基本的な内容をご紹介します。
育児・介護休業法の概要
育児・介護休業法は、正式名称で「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。育児・介護に携わる労働者について定められており、1991年5月15日に公布されました。簡単にいえば、子供の育児や家族の介護をしなければならない従業員が、仕事と育児・介護を両立するために受けられる公的サービスについて定めた法律です。
育児に関しては、産前産後休業や育児休業、子の看護休暇、転勤への配慮所定外・時間外労働の制限、深夜業務の制限、短時間勤務制度などが盛り込まれています。このうち、1歳未満の子どもを養育するために、従業員が休業を取得できる制度(第2条)を育児休業といいます。よく似た制度に、育児休暇がありますが、これは会社が任意で設けている社内制度のことです。法律で定められているわけではありません。
一般的に育休という場合、公的な制度である育児休業を指します。いずれにしても、男性・女性が子育てと仕事を両立して、より働きやすい職場を目指すべく、育児・介護休業法は改正を繰り返してきました。この度の改正で4回目となります。
新制度で知っておくべき3つのポイント
新制度のポイントは、3つあります。男性が育休を取得しやすい環境づくりが義務化されたことです。そして、条件が緩和されたこと、新しい制度が創設されたことです。新制度の詳細について解説します。
義務化された内容
これまで男性の育児休業に関しては、努力義務として位置づけられていました。しかし、義務が課せられるようになります。とくに義務化される内容は、次の2点です。
・育児休業の制度周知、取得意向を確認する義務
妊娠・出産を申し出た従業員に対して、会社側は育児休業制度の事項を周知して、取得意向の確認を個別に行わなければなりません。
・育児休業の取得状況の公表の義務化
従業員数1,000人超の企業は、育児休業などの取得の状況を、年1回公表しなければなりません。また、育児休業を取得する男性へのハラスメント防止は、中小企業で努力義務とされていましたが、取得を諦める男性が多いことから義務化されます。こういった働きかけの義務に反した場合、労働局による指導や勧告の対象となります。
条件緩和された内容
有期契約労働者(パートやアルバイトなど)の育児・介護休業取得要件が緩和されます。今までは、2つの要件を満たす必要がありました。
1.引き続き雇用された期間が1年以上
2.子どもが1歳6ヵ月となる日までに労働契約期間を満了することが明らかではない
1.の要件がなくなり、2.のみで取得可能となります。ただし、労使協定を締結した場合には「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」を対象外とすることができるので、注意しなければなりません。
創設された内容
新たに創設されたのが、「産後パパ育休制度」です。育児休業とは別に取得することができます。具体的な内容は、以下の通りです。
・子どもの出生後8週間以内に4週間(28日間)まで育児休業が取得できる
・申請期限は、原則休業の2週間前まで(今までは1か月前までに申請)
・2回までの分割取得ができる(労使協定の締結と労働者との個別合意がある場合、休業中の就業も可能)
今までは、出産後8週間以内に育休を取得した男性が再度育休を取得できる「パパ休暇」、子どもが1歳2カ月に達するまで延長できる「パパ・ママ育休プラス」がありました。さらにパパが育休を取得しやすくなるように、「産後パパ育休制度」が設けられたと考えられます。