日本企業におけるフレックスタイム制
ここでは、日本企業でフレックスタイム制が導入された背景と、現在の普及状況について説明します。
フレックスタイム制の由来
フレックスタイム制は、英語の「flex」から由来しています。「flex」は「柔軟性」「曲げる」と直訳することができ、勤務時間を固定しない変形労働時間制のことを、フレックスタイム制と呼ぶようになりました。
ヨーロッパ諸国をはじめ海外企業では、広く普及している制度です。日本では、1987年の労働基準法改正に伴って、1988年4月から正式にフレックスタイム制が導入されました。当時は、高度経済成長によって、日本は先進諸国の仲間入りを果たしましたが、その一方で、残業や休日出勤など、過度な働き方が問題視され始めたタイミングです。しかし、フレックスタイム制が誕生して30年数年経ちましたが、日本企業では浸透していません。
フレックスタイム制の現状
厚生労働省の調査によると、フレックスタイム制を採用している企業の割合は、6.1%です。1,000人以上の企業規模では28.7%なのですが、中小・零細企業になると大幅に採用数が減少します。
(参照:厚生労働省|令和2年就労条件総合調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaikyou.pdf)
中小・零細企業でフレックスタイム制が普及されにくい理由は、いくつか考えられます。例えば、過度な人手不足や取引先・関連会社への影響から、自由度の高い働き方が実現しづらい状況にあります。しかし、近年は新型コロナウイルスの影響を受けて、大企業以外でも働き方が見直されるようになってきました。また、男性の育児・家事への積極的な参加を重視する会社も増えています。
従業員が働きやすい職場づくりをするためには、仕事とプライベート・生活が両立できる仕組みが必要です。今後、フレックスタイム制の普及率向上が、社会全体でより推進されていくことが予想されます。
パパがフレックスタイム制を活かすために大切なこと
フレックスタイム制の仕組みや特徴、現状について説明しました。
現在、子育て中の男性も、これから育児に関わる男性も、フレックスタイム制を利用できるかどうかは、とても重要なポイントです。同じ制度であっても、企業にごとに要件は異なります。今勤めている会社や、これから転職したい企業の就業規則や実施状況を確認しておきましょう。また、フレックスタイム制を使って、どういうライフスタイルを送りたいのか、家事や育児に関することをママとどう協力し合うのか、事前に考えておくことも大切です。
例えば、午前中はできるだけ子供と一緒に過ごすだけでも、家族にとっては安心材料となります。さらに、少し早めの時間帯に退社をして、ママの代わりに買い物をしたり、散歩に出かけたりすることができるでしょう。曜日ごとに担当を決めて、夕飯を作ってみてもいいかもしれません。
また、ママが睡眠不足や体調不良だという場合は、パパが午前中に家事を済ませてから出社をするパパも少なくありません。午前中に掃除や洗濯をすると気持ちがリフレッシュして、仕事がはかどるという声もありますよ。子供が育ってくると、保育園への送りとお迎えに時間を使えるようになります。急な発熱で、病院に連れて行かなければならない場合でも、対応が可能です。
フレックスタイム制を利用する計画を持っておくことで、子育てにも仕事にも振り回されれずワークライフバランスを実現することができるでしょう。