『柚子湯で無病息災!そのパワーの秘密は・・・』~子どもと一緒に食を考える #4

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『柚子湯で無病息災!そのパワーの秘密は・・・』~子どもと一緒に食を考える #4

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

一年で最も昼が短く夜が長くなる冬至、今年は12月22日になります。古くから「冬至の日に柚子湯に入ると無病息災」とうたわれるように、日本の冬を代表する柑橘類の柚子は調理用の食材にとどまらず、私たちの冬の健康を支えてくれる貴重な果実なんです。この記事では、そんな柚子の魅力に迫ります。

東アジアだけで栽培される個性的な柑橘類

柚子の原産地は中国・揚子江の上流地域といわれ、イーチャンバペダとマンダリンの雑種が起源と推定されています。日本には、奈良時代から平安時代の頃に朝鮮半島を経て渡来し、その特有な香りが好まれ全国各地に栽培が拡がりました。現在では高知県や徳島県が一大生産地ですが、寒さにも比較的強いので福島県など東北地方でも栽培されています。また日本・韓国・中国以外ではほとんど栽培されておらず、世界的には東アジアだけの個性的な柑橘類になっています。

個性派柑橘類の基は香り成分「ユズノン」

ミカン科ミカン属の柚子は晩秋から冬にかけて出回り、その鮮やかな黄色と特有の香りの高さが人気で、果汁はもちろん、果皮まで幅広く活用されています。「ユズノン」という香り成分が、その特有な香りを引き出していますが果肉は酸味がとても強いので生食には向かず、豊富な果汁を搾って吸い口や調味料にしたり、果皮が料理や菓子作りなどに利用されています。同じミカン科の温州みかんなどと異なり、果肉より果汁や果皮、そしてそこからの特有な香りが重宝されるのも個性派柑橘類らしいところです。

柚子湯の効能と注意点

寒さが厳しくなるこの時期、ゆっくりお風呂に入ると血管が広がって血流が良くなり身体が温まります。そこに柚子が加わると、香り成分「リモネン」「シトラール」などの作用で交感神経が刺激され、さらに血流が良くなりポカポカ効果の倍増が期待できます。「冷えは万病のもと」といわれますが、柚子湯で体の芯から温めることが無病息災につながるとされ、冬至の風物詩として根強い人気があります。加えて、さわやかな香りはリラックス効果を高めてくれるのでストレス解消にも有効です。

ただ香り成分「リモネン」は、皮膚に触れるとピリピリしたり、かゆみを感じる場合があるので、子どもやお肌がデリケートな方が入浴する場合は、柚子に切れ目を入れずに浮かべるようにしましょう。

健康に役立つ柚子の効能とは

柚子が持つ身体に嬉しい栄養素には次のようなものがあります。カリウム、カルシウム、マグネシウムには血圧降下や骨組織強化に役立ちます。レモンより多く含まれるビタミンCやビタミンEには強力な抗酸化作用があるので、アンチエイジングにつながる細胞の老化予防や感染防止などに有効です。昔から「柚子湯で風邪知らず」といわれるのも、こうした効能を経験値で掴んでいた証なのでしょう。

ここで注意しておきたいのは、カリウム以外の栄養素は果皮の方により多く含まれている点です。果皮を薄く切り、お吸い物に浮かべたり、千切りにして焼き物や煮物に添えたり、おろし金でおろして味噌に和えるなどで果皮をしっかり利用するようにしましょう。

おいしい柚子の選び方と保存方法

ではおいしい柚子の選び方をご紹介します。第1のポイントは表面の果皮です。皮に張りがあり色つやが鮮やかなものを選び、さらにヘタの切り口が茶色に変色せず緑が残っているものが新鮮な証になるので入念にチェックしてください。第2のポイントは手に取った時の重さです。ずしりと重たさを感じるものがベストなので、見た目より軽く感じるものは避けてください。

そして柚子は鮮度が命ですから、早く使うことが大切です。どうしても保存しなければならない時は、新聞紙でふんわりと包み、暖房の強い場所をさけ冷暗所に置いてください。冷蔵庫を使う時はチャック付ビニール袋などで密封して保存しましょう。

柚子を積極的に利用して健康な冬を

冬の柑橘類の中でも一際、個性が輝く柚子。その特有な香りをはじめ果汁から果皮まで、私たちの心と身体にすばらしい恵みを与えてくれます。柚子を積極的に利用して寒い季節を健康にすごしてくださいね。

【参考文献】※『果物と生活習慣病』| 株式会社ペガサス2007年刊

 

 

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