「みんな大好きな苺(いちご)♫本当の旬はいつ?」~子どもと一緒に食を考える #54

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「みんな大好きな苺(いちご)♫本当の旬はいつ?」~子どもと一緒に食を考える #54

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

12月頃から店頭で並び始める苺(いちご)、鮮やかな赤色と華やかな香り、そして豊潤な甘みを持つフルーツはお子さんから大人まで誰にも好まれる人気があります。クリスマスケーキにも欠かせないこの果実を、旬は冬だと思っている人も多いようです。でも、本来の旬は違うのです。今回は、みんな大好きないちごの旬を紹介するとともに代表的な品種やおいしいいちごの選び方などを紹介します。

300種を超える品種を持つ「いちご王国」

日本で品種登録されているいちごの数はなんと300種超もあるのです。世界でも例をみない、多くの品種を生み出している国・日本は「いちご王国」ともいえるのです。もちろん全国各地で栽培されており、代表的な産地は栃木、静岡、愛知、福岡、熊本の5つ県になります。また、ひとつの県で複数のブランドいちごを作っている地域もあり、今なお、よりおいしい品種を求め試行錯誤が続いています。

苺の旬は冬?春?

いちごの旬を冬と思っている人が多いようですが、実は、本来の旬は春なんです。露地物は3~4月にかけて、もっとも甘くなり豊潤な香りに包まれ、しっかりと熟して食べ頃を迎えます。いちごは熟してから収穫されるフルーツなので、収穫期と旬は同じ時期なんです。品種によって収穫期はやや異なりますが、ハウス栽培と露地物を含めた総合的な旬は、1月後半から4月中旬までと覚えておきましょう。

今日の日本ではクリスマスに、真っ赤ないちごがのったケーキは無くてはならい風物詩になっています。そうしたニーズに、農家では品種改良を重ねたり、露地物をハウス栽培に切り替えたりしてクリスマス時期の需要に応えてきました。それが、本来の旬の時期より早く、いちごが初冬に出回るようになった一番の理由なのです。ジングルベルを聞きながらクリスマスにいちごを楽しめるのは、消費者への思いに応えるため、生産者が努力の結晶と言えるのです。

加えて、一年中店頭でみかける「いちごのショートケーキ」。このケーキ用のいちごとして、季節に関係なく真夏でも収穫できる品種がサマープリンセス、なつみずき、すずあかねなどが四季成りと呼ばれるいちごになります。これらも製菓業界の要望に応えるために開発されたタイプで、年中、いちごを楽しめる日本ならではの品種とされています。

代表的な品種①「とちおとめ」

では、300種を超える品種の中で、代表的な物を3つご紹介していきましょう。まずは、とちおとめです。この品種は、国内で栽培されるいちごのなかでもっとも多く、関東で高い人気を誇っています。全国で30年以上、いちごの出荷量トップを誇る栃木県。そこで生まれたいちごで、県内の大部分、全国では3割以上の栽培面積を誇る大人気の品種。鮮やかな赤色で光沢があり、円錐形の果実は大きく、甘味と酸味のバランスの良い味わいが特徴です。

代表的な品種②「あまおう」

次に九州を代表する品種のあまおうです。とよのかを品種改良して生まれた福岡県産の品種で、甘い、丸い、大きい、旨いの頭文字を使ってネーミングされました。果肉がしっかりしていて赤色が強く、形も整っており、かつふっくらしているのが特徴です。あまおうの一番の魅力はその大きさ。平均で40~50gもあるため、食べ応えタップリのいちごとして人気があります。

代表的な品種③「紅ほっぺ」

静岡県で開発された紅ほっぺは、歴史が浅く2002年に品種登録された21世紀生まれいちごになります。静岡県はこの品種の栽培を県内限定とはせずに、許諾制で他府県でも作ることを可能にしました。その結果、各県のいちご農家で人気が高まり、生産量も年々増えて来ています。ほっぺたが落ちるほどおいしい、という意味からつけられた名前。ゴツゴツした見栄えながら、甘味が強くほどよい酸味があります。なかには、ひと粒で60gまで育つタイプもあるようです。

苺の保存はいつまで大丈夫?

いちごは熟してから収穫されるので、傷みが早いフルーツです。品種によって果肉の硬さが違いますが、買ってから2~3日すると、やわらかくなり傷みはじめます。冬は気温が低いため多少は長持ちしますが、暖かい室内では油断は禁物。常温では翌日まで、それ以上は必ず冷蔵庫の野菜室に入れて、買ってから3日間を目途に食べきるようにしましょう。

また、いちごは生鮮食品なので、賞味期限の表示はとくにありません。買ったらすぐに食べるのが前提ですが、気温が上がりはじめる春でも、冷蔵庫の野菜室で2~3日は保存可能です。その場合、いちごを洗って入れるのは厳禁、そのまま何も触れないよう気をつけて保存するようにしてくださいね。

新鮮な苺の選び方

いちごを買って少しでも長持ちさせたいのなら、より新鮮ないちごを選ぶように心掛けましょう。まずは、果皮が鮮やかな赤色で、全体にツヤがあり張りのあるもの選びましょう。黒ずんだり変色しているものはNGです。ヘタは、鮮やかな緑色でしなびていないものが新鮮な証となります。そのためヘタが枯れていたり、色ムラがあるものは避けましょう。透明パック入りの商品の場合、下から見るのがポイント。底に触れているいちごがつぶれていたり、変色したりしているものは、古いと判断して避けるようにしてください。

旬の苺を家族みんなで楽しみましょう

いちごのお話、いかがでしたか。本来の旬をこれから迎えるいちごを、ぜひ家族みんなで楽しんでみてください。新鮮な露地物を味わうのも良し、ケーキや和菓子に使われた形で楽しむのも良し。いちご王国・日本ならではの、おいしいいちごをたっぷり堪能してくださいね。

【参考文献】

※『イチゴ大事典』|農山漁村文化協会2016年刊

※『いちご本』|株式会社昭文社2021年刊

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