⑤事業体の熟成度の違い
“人材派遣”と“人材紹介”では、事業の熟成度が違ってきます。
2021年現在、“人材派遣”を行っている企業は衰退期に入ってきている企業が多く、すでに熟成しきっております。
但し人材紹介事業はまだまだ“成熟期”や"成長期"の会社が多く、これからさらに市場が盛り上がっていくのではないかと言われております。
事業の熟成度とは・・・?
企業が成長していく過程には、「創業期」「成長期(拡大期)」「成熟期(安定期)」「衰退期(再成長期)」という4つの成長フェーズがあります。
成長フェーズによって、事業の収益性や会社としての方向性、戦略も大きく変わってくることが多いです。
人材紹介の歴史
人材紹介会社の市場が成長し始めたのは、人材派遣より少し遅い1999年です。
元々は、国が運営している公共職業安定機関(ハロワーク)を中心に職業紹介は行われておりました。
しかし、『職業安定法の改正』により、民間の有料職業紹介事業が原則自由化され、有料職業紹介の免許が許認可制になったことをきっかけに、多くの有料職業紹介を行う事業者が増え、人材紹介の市場が活性化していきました。
2021年現在では、人材紹介会社は非常に活気づいており“成熟期”や"成長期"になっている会社が多くなっております。
人材紹介が成長市場になっている要因
- 2020年に施行された『同一賃金同一労働制』により正社員の需要UP
- サラリーマン社会における定年制度の崩壊への動きにより、自分自身のキャリアを考える機会の増加
- 『JOB型雇用』という特定の職務を遂行できる人を採用する雇用が注目されている
人材派遣の歴史
人材派遣は1986年に『労働者派遣法』が施行され、その後1996年にバブル経済化の影響を受け、従来は禁止されていた業種への派遣も可能になりました。この流れを受け、人材派遣の市場は急速に伸びていきます。
さらにそこから派遣に関する規制緩和が進み、人材派遣市場が盛り上がっていきました。
そんな中、2008年に起こったリーマンショックにより『派遣切り』『年越し派遣村』などが社会問題になり、規制緩和から規制強化の流れに戻り始めました。
現在は、2020年に施行された『同一賃金同一労働制』などにも影響され、人材派遣会社は完全に“衰退期”に入っている会社が多い状況です。
⑥人材紹介会社と人材派遣会社のメリット、デメリット
“人材紹介”と“人材派遣”のメリットは、求職者目線で見ると、仕事を紹介してくれるという点でそこまで大きな違いはありません。しかし採用企業(派遣先企業)から見たときに、メリットやデメリットは大きく違ってきます。
人材紹介会社を利用するメリット・デメリット
人材紹介会社を使うメリット
- 初期コストをかけずに求職者を集めることができる
- 状況に応じて求人のオープン・クローズができる
- 自社の人的コストをかけずに、候補者を集めることができる
- 非公開で採用活動を進めることができる
人材紹介会社を使うデメリット
- 1名採用するのにかかるコストが割高
- 社内に候補者の集客ノウハウが蓄積しない
- 意向度の低い候補者もエントリーしてくる可能性がある
人材派遣会社を利用するメリット・デメリット
人材派遣を使うメリット
- 業務量に合わせた契約が可能
- 即日~2週間くらいのスピード感で就業開始が可能
- 実際の勤務状況を見て、正社員として採用するかジャッジすることもできる(紹介予定派遣)
人材派遣会社を使うデメリット
- レベルの高い人材を望むことが難しい
- 帰属意識の希薄な派遣スタッフも多い
- 育成コストが無駄にかかってしまう可能性がある
⑦人材紹介会社と人材派遣会社の立ち上げ方の違い
“人材紹介会社”と“人材派遣会社”はそれぞれは、厚生労働省から発行される許認可を受けていないと事業をすることができません。
この許認可がでる条件が“人材紹介会社”と“人材派遣会社”で大きく2つ違います。
1つ目は責任者講習です!人材紹介会社は「職業紹介責任者講習」、人材派遣会社は「派遣元責任者講習」をそれぞれ受講しないといけません。
責任者講習とは?
職業紹介責任者講習は「公益社団法人 全国民営職業紹介人材教会」が運営しており、派遣元責任者講習は「一般社団法人 日本人材派遣協会」が運営しております。それぞれの責任者講習は誰でも受けることができます。
2つ目は会社の資本金の金額です!人材紹介会社が資本金が500万円以上、人材派遣会社は資本金が2,000万円以上あることが、許認可の条件になっております。