妊娠中期(16~27週)に気をつけておきたいママの身体の不調とは~パパのためのマタニティセミナー#12~

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妊娠中期(16~27週)に気をつけておきたいママの身体の不調とは~パパのためのマタニティセミナー#12~

hyamama

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2歳と4歳の子どものママ。夫は31歳で転職を経験。 転職活動に仕事に育児と、毎日忙しいパパを応援したいと思い、家事・育児に関する記事やママについての記事を書いています。 一緒に子育ての悩みや夫婦の悩みを解消していきましょう。

パパのためのマタニティセミナー第9回第10回でお話ししたように、つわりや腰痛など、妊娠中は何かと身体のトラブル続き。不調に慣れすぎてママ自身も、「お腹が張っている気がするけど、これくらいなら我慢すべき?」と悩む場面があります。「安定期だから」とサポートを減らしているかもしれませんが、妊娠中にはさまざまなトラブルが潜んでいます。もしものときに備えて、妊娠中期に発症する可能性のある不調や、そのときパパができることを知っておきましょう。

貧血

女性なら貧血は日常生活の中でも起こりやすい症状なので、「貧血くらい」と考えているパパ・ママもいるでしょう。しかし重症化すると、出産時に輸血が必要になる恐れがあります。妊婦は貧血になりやすい傾向があるので、その症状を知り、予防方法を妊娠中の生活に取り入れていきましょう。

貧血の原因と症状

妊娠中は赤ちゃんと胎盤を成長させるために、多くの鉄分が必要になります。さらに血液循環量も増えているので、ママの身体の中では赤血球を作るのに大忙し。色素成分であるヘモグロビンにも鉄分が必要なので、不足してしまうと赤血球を作るスピードが追いつかず、鉄欠乏性貧血になってしまうのです。そのため妊娠中は誰でも貧血になりやすく、めまいや頭痛、立ちくらみ、ふらつき、息切れ、疲れやすいなどの症状に悩まされます。

貧血の予防方法

多くのママが経験する貧血の予防方法は、次の3つです。

  • 鉄とタンパク質が多い食材を食べる
  • ビタミンCが多い食材を食べる
  • 産院で処方してもらえる鉄剤や、鉄分を含むサプリを服用する

貧血は、普段から鉄やタンパク質の豊富な食事を心がけることが予防につながります。とくに、体内への吸収率の高い「ヘム鉄」が豊富な赤身肉や赤身の魚を中心に献立を考えてみましょう。また、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップするのでおすすめです。

食事で改善が難しい場合は、産院で鉄剤を処方してもらえます。しかし、鉄剤の副作用で胃がムカムカしたり、便秘・下痢になってしまう妊婦さんも少なくありません。赤ちゃんのためにと無理して服用するママもいるので、副作用でつらそうなときは無理せずいったん服用をやめ、かかりつけ医に相談するようパパからアドバイスしてあげましょう。

妊娠高血圧症候群

つわりが落ち着いて食欲が戻ってくると、今度は食欲旺盛になりすぎてしまうママが多くいます。気づいたら予想以上に体重が増加していて、妊婦健診で「体重管理に気をつけて」と言われてしまうことも。このように指導されるのは、急激に体重が増加してしまうと、妊娠高血圧症候群のリスクが高まるからです。症状だけでなく、どのようなタイプのママがなりやすいかも知っておきましょう。

妊娠高血圧症候群の原因と症状

妊娠高血圧症候群とは、妊娠の進行によって胎盤と母体の血管への負荷が大きくなり、血管のトラブルが原因で発症する病気になります。症状は単に高血圧になるだけでなく、尿タンパク陽性や各臓器の障害(肝機能障害、腎機能障害など)を伴う場合もありあます。初期症状はむくみ程度ですが、高血圧の状態が続くと吐き気や頭痛といった不調も表れやすくなり、重症化すると母子ともに危険な状態となります。目がチカチカするような頭痛のときは、とくに注意が必要な症状のため、急いでかかりつけの病院に電話を入れ、受診してください。

妊娠高血圧症候群になりやすいママは?

次のようなタイプのママは、妊娠高血圧症候群になりやすい傾向があるので、パパも一緒に気をつけてあげましょう。

  • 妊娠前から肥満体質
  • 高年妊娠(35歳以上での妊娠)
  • 多胎
  • 妊娠してから急激に体重が増えた
  • 高血圧の家系
  • 高血圧、腎臓病、糖尿病などの持病がある
  • 初めての妊娠
  • 過去の妊娠で高血圧症候群を発症した

遺伝的な要因や、急激な体重増加だけでなく、初めての妊娠というママも妊娠高血圧症候群になりやすい傾向があります。自覚症状がないまま放置するのは危険なので、妊婦健診の際に血圧が高めだった場合は、自宅でも血圧測定をして記録をつけておくのがおすすめです。最高血圧140mmHg 以上、最低血圧90mmHg以上になっていないか1日3回測定し、健診時に測定した記録も持っていくと産院で相談しやすいでしょう。

妊娠高血圧症候群の予防方法

妊娠高血圧症候群の予防方法は次の4つです。

  • 安静にする
  • 規則正しい生活をする
  • 減塩食にする
  • 体重の急激な増加を避ける

初期のうちは自覚症状がない病気なので、知らないうちに血圧が高くなっている可能性があります。そこで血圧の上昇を防ぐために、ストレスや疲れを溜め込まないよう普段から規則正しい生活を心がけ、ゆったり過ごすことが大切です。急激な体重増加や、塩分の多い食事も身体に負担をかけてしまいます。バランスのいい食事に変えていけるようパパも協力しましょう。32週未満で発症した人は重症化しやすい傾向があるため、今からでもこれらの対策を生活に取り入れてくださいね。

妊娠糖尿病

この病気で心配なのが、出産時のリスクです。出産まで血糖値が高いままだと、身体の機能が未成熟な巨大児(4000g以上)で生まれることがあります。さらに重症化すると胎盤機能が低下し、低出生体重児(2500g未満)で生まれるリスクもあり、分娩時は危険を伴います。妊娠糖尿病になりやすいタイプのママと、パートナーであるパパは、赤ちゃんのために予防方法も確認しておきましょう。

妊娠糖尿病の原因と症状

妊娠糖尿病は、妊娠がきっかけで発症する糖代謝異常です。胎盤のホルモンが母体の筋肉や脂肪細胞にインスリン抵抗性を起こし、血糖値が高くなります。妊娠中に初めて発見された、糖尿病に至っていない糖代謝異常もこれに当てはまります。自覚症状はないので、妊婦健診で尿検査や血液検査を受けて診なければわかりません。尿糖が続き、血糖値も高い場合は、より詳しい検査(ブトウ糖負荷検査)をして妊娠糖尿病かを診断します。

妊娠糖尿病になりやすいママは?

次のようなママは、妊娠糖尿病になりやすい傾向があります。

  • 妊娠前から肥満体質
  • 糖尿病の家系
  • 妊娠してから急激に体重が増えた
  • 高年妊娠(35歳以上での妊娠)
  • 過去に巨大児を出産したことがある

通常の糖尿病と同じく、遺伝的に糖尿病になりやすい家系のママは発症するリスクも高くなります。また、もともと肥満だった人や、妊娠してから体重が増えすぎてしまった人、高年妊娠の人も要注意。出産まで血糖値が高いままだと、赤ちゃんが巨大児になりやすいだけでなく、低血糖や呼吸障害が出る可能性もあるのです。適切な体重増加に収まるように、パパも協力して次の予防方法を生活に取り入れてみましょう。

妊娠糖尿病の予防方法

予防では、体重をコントロールし血糖値が高くならないように気をつけるのが重要です。予防方法は次の3つ。

  • ストレスを溜めない
  • 適度な運動をする
  • 食事に気をつける

ストレスが大きいと、血糖値を上げるホルモンが分泌されます。また糖分や油分の多い食事で体重が増えすぎると妊娠糖尿病のリスクが高まるので、偏った食事は控えましょう。ただし、カロリーを低くしすぎると、かえって赤ちゃんの発育に影響がおよぶので、適正なカロリーでバランスよく食べることが大切です。適度なウォーキングなどの有酸素運動でエネルギー代謝を上げ、体重の増えすぎを防止するのもおすすめですよ。

後期流産・早産

流産、早産とは、正産期(妊娠37~41週)になるまでに、妊娠が終了してしまうことです。妊娠4~11週の間だと早期流産、妊娠12~21週の間だと後期流産、妊娠22~36週の間だと早産と区別されます。妊娠中期はこの中でも、後期流産と早産に気をつける時期なので、その症状や予防方法を紹介します。

後期流産・早産の原因

後期流産と早産は、原因と症状が共通しています。子宮頸管無力症などの病気や、子宮筋腫、子宮奇形などの子宮の異常が関与している場合もあります。しかし、最も多い原因は細菌感染による子宮内の炎症です。絨毛膜羊膜炎といい、赤ちゃんを包む卵膜が細菌に感染して炎症を起こし、流産や早産につながります。

「切迫」て何? 切迫後期流産・切迫早産の症状

「ママはいつも元気そうにしているし、うちは出産まで順調だろう」と思っているパパもいるかもしれませんが、妊婦健診で突然「後期切迫流産」や「切迫早産」と診断され入院になる可能性もあります。「切迫」とは、「流産、早産になりそうで危険な状況」という意味。いますぐ出産が終わるわけではありませんが、その兆候が出ているため安静に過ごす必要があり、場合によっては医療的な処置もおこないます。「切迫」のときには、次の3つのような症状が表れている可能性がるので、危険なサインを見逃さないためにも覚えておきましょう。

  • 出血
  • おりものの異常
  • おなかの張り・痛み

出血は少量でも念のため産院に連絡し、受診することをおすすめします。出血量が多く、真っ赤な鮮血の場合は危険度が高いので要注意。すぐに産院で診察してもらう必要があります。おりものの異常は女性特有の症状なので、パパには分かりにくいかもしれません。しかし、ママ自身が量や匂い、色がいつもと違うように感じていたら、産院に相談するよう促してみましょう。

下腹部の張りも、初めて妊娠を経験するパパ・ママには分かりにくい症状ですが、妊娠中のお腹は本来、力を入れていない二の腕に近い軟らかさです。腕に力を入れて、力こぶが出ている状態のように硬くなっていればお腹が張っているので、ママに休憩をとり横になるように伝えてください。

後期流産・早産の予防方法

予防のためにできるのは、感染症対策です。ママが感染症にかかる経路は、インフルエンザや風疹のように飛沫感染や接触感染するものもありますが、性行為によって感染するケースも存在します。安定期でママの体調がいいときでも、パパができる予防接種は積極的におこない、セックスのときは必ずコンドームをつけてください。また後期切迫流産、切迫早産と診断された場合、安静に過ごすように指導されます。お腹に負担をかけると危険なので、次の安静度のレベルに合わせて、ママの生活をサポートすることが大切です。

自宅安静と入院安静はどのくらい安静にする?

切迫流産や切迫早産、妊娠高血圧症候群などと診断されたときは、かかりつけ医から「安静に」と指示されます。しかし安静と言われても、ママに買い物や家事を任せていいのか、入浴をすすめていいのかさえも悩みますよね。そこで上の表のレベルに合わせて、ママがどのくらい安静にすべきかを把握しておくことが大切です。

ママにとって、パパの助けが一番必要になるのは、レベル2のとき。自宅であまり動かず寝て過ごすように指示されます。重たい荷物を持つのは当然控えるべきなので、買い物はおろか布団の上げ下げ、上の子を抱き上げるのもNG。立ち仕事が多い家事も負担になるので、パパの助けがなければ自宅安静は不可能です。入院になるほど症状が悪化しないために、自宅安静のときはパパがどこまでサポートできるかや、頼れる家族はいるのかなどを考えておきましょう。

自覚症状がない病気もあるからこそ、妊婦健診は欠かさずに

自覚症状のない妊娠中の病気を早期発見するためには、妊婦健診に欠かさず行くことが重要です。早い段階で見つかれば、悪化しないための対策も立てられます。ママが産院での長い待ち時間に不満を感じていたり、忙しくて行くのを面倒に思っていたとしても、必ず受診するように伝えてくださいね。

また、ママは身体に不調が表れると、赤ちゃんのことが心配で気持ちが大きく揺れてしまいます。そのようなときは、パパがかかりつけの病院に電話し、診察の予約を入れてくれるだけでも少し安心できます。緊急連絡先をメモして、もしものときに備えておきましょう。次回は妊娠後期になる前に始めておきたい入院準備や、赤ちゃん用品の検討 、名前を考えるときのポイントなどをお話しします。

【参考文献】
※『最新! 初めての妊娠・出産新百科mini 』|株式会社ベネッセコーポレーション2021年刊

監修

ゆう助産院 今井智圭子院長

母子のことを第一に考え、自然なお産、楽しい育児を全力でサポート!がモットーの助産院。

明るくアットホームな環境で、頼りになる助産師が、妊産婦さんの心に寄り添って応援してくれます。

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