「鰻は本当に夏バテに有効なのか?その栄養に迫る」~子どもと一緒に食を考える #62

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「鰻は本当に夏バテに有効なのか?その栄養に迫る」~子どもと一緒に食を考える #62

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

今年も猛暑の夏がやってきます。夏バテが心配になりますが、その対策として鰻を食べるも方も多いのではないでしょうか。特に土用の丑の日(夏土用)には鰻重や櫃まぶしを求めて、お店には行列が続きます。今年は7月24日と8月5日が土用の丑の日なりますが、そもそも鰻は夏バテ対策に本当に有効なのでしょうか?そこで今回は、鰻の栄養に迫ります。

万葉の頃から夏に鰻を食べていた日本人

夏の暑い時期に鰻を食べる習慣は、かなり古くからあったようで、奈良時代の歌集「万葉集」にも大伴家持が次のような和歌を詠んでいます。『石麻呂に 吾もの申す 夏痩せに 良しという物ぞ 武奈伎とり食せ』~夏バテでげっそり痩せてしまった友人の石麻呂に「石麻呂よ、夏痩せによいという、鰻を獲って食べなさい」と勧めた内容です。1300年前から、日本人は体力が落ちやすい夏に鰻を食べると良いという認識を持っていたのです。

土用の丑の日に鰻を食べる習慣は平賀源内から

土用の丑の日に鰻を食べることが定着したのは江戸時代だといわれています。諸説ありますが、一番有名な説が蘭学者・発明家の平賀源内のアイデアです。当時、庶民の間で食べられていたのは秋から冬が旬の天然鰻でした。夏にはなかなか鰻がが売れず困っていた店主が、平賀源内に相談を持ちかけます。平賀源内は「本日 土用丑の日」という張り紙を店先に出すよう提案し、万葉集の大伴家持の歌も、宣伝文句として訴求しました。

万葉の頃から夏に鰻を食べていたというPRは大層評判となり、お店は大繁盛。それが江戸中に広まり「夏の土用には鰻を売る・食べる」ということが定着していったとされています。

鰻に含まれる素晴らしい栄養①「ビタミンE」

では鰻が夏バテに有効な栄養を持っているのか、具体的にみていきましょう。まずはビタミンEです。強い抗酸化作用があるこの成分を鰻は100gあたり7.4mg含んでいます。抗酸化作用とは、体内で増える活性酸素による酸化を抑え、体を守るはたらきのことです。血管や血液、細胞膜を健康に保ったり、加齢によって発症しやすいと言われる疾患の予防も期待できます。

最近の研究で体内の活性酸素が増えすぎることが疲れの原因と判明しています。その活性酸素の増加を抑えてくれるビタミンEを豊富に含んでいる鰻は、まさに夏バテ対策に有効な食材といえるのです。

鰻に含まれる素晴らしい栄養②「ビタミンB1・B2」

次はビタミンB1ビタミンB2です。猛暑の夏は、誰もがエネルギーの消費が多くなり、体内でその産生が不足することも夏バテの要因となります。ビタミンB1は、体内に貯めたブドウ糖をエネルギー換えるために必要不可欠な栄養素になります。ビタミンB1をしっかり摂り、エネルギー代謝を活発にすることが夏バテ防止に有効なことは言うまでもありません。

そしてビタミンB2は、皮膚や粘膜の機能を正常に保つことに関わっています。不足すると口内炎、口角炎、舌炎、角膜炎などにつながります。成長期の子どもには大切な栄養となるので、夏休みのお子さんの食事に鰻を積極的に取り入れるようにしましょう。鰻100gあたりビタミンB1は0.37mg、ビタミンB2は0.48mgを含んでいます。

鰻に含まれる素晴らしい栄養③「ビタミンA」

締めはビタミンAです。この成分は、皮膚や粘膜、目の健康を維持するために不可欠で、抵抗力を高めるはたらきもあり、猛暑の時期には積極的に摂取して欲しい栄養になります。そして鰻は100gあたり、2400μgものビタミンAを含んでいます。ビタミンAの一日あたりの推奨量は、18〜29歳 男性が850μg、女性が650μg、30〜49歳 男性が900μg、女性が700μgになります。せひ鰻から効率良くビタミンAを摂取してくださいね。

家族で鰻をおししく食べて夏バテ予防に

鰻が持つ素晴らしいの栄養の数々、いかがでしたか。奈良・万葉の頃から私たち日本人は鰻が夏バテに有効であると実感しており、それが土用の丑の日の習慣として今もしっかり根付いているのです。年々、高価になる鰻ですが、土用の丑の日という特別な日には、ぜひ家族で鰻を楽しんで夏バテ対策とともにおいしさを楽しんでくださいね。

【参考文献】

※『からだのための食材大全』|株式会社NHK出版2016年刊

※『くらしに役立つ栄養学』|ナツメ社2021年刊

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