最近はドラックストアなどでさまざまな種類のベビー用ジュースが販売されており、離乳食期間中に与え始めたというパパ・ママも多くいます。その人気の理由のひとつは、「○ヶ月から」というように、飲み始めてもよい月齢が明記されていること。分からないことだらけの子育の中でも、これなら与えても大丈夫だという安心感が得られ、気軽に購入できるのです。しかし、市販の甘いジュース(以下、ジュース)にはそのような記載はないので、子どもが成長するにつれ、「もう飲ませても大丈夫だろうか?」と悩むこともあるでしょう。
そこで今回は、パパ・ママが理解しておきたい、ジュースにを与えてもいい時期や適切な量、与えるときの注意点などを紹介します。
ジュースは3歳を過ぎてから! その理由は
赤ちゃんの場合、果物を絞った果汁100%のジュースであれば、湯冷ましで薄めたものを生後5~6ヶ月ごろから与えることができます。対して、薄めていない、甘みの強いジュースの場合は、3歳を過ぎてから与えるのが望ましいといわれており、その理由は次の2つです。
- 子どもの味覚は3歳ごろまでの経験によって形成される
- 3~4歳になれば、さまざまな消化酵素の分泌が大人に近づく
ではこの2つについて詳しく解説します。
子どもの味覚は3歳ごろまでの経験によって形成される
幼児の食事が薄味なのは、味覚の発達には素材の味を経験することが重要だからです。しかし、味覚がまだ完全に成長していない子どもは薄くて複雑な味よりも、単純ではっきりした味(甘み、塩みなど)に反応し、それを好む傾向があります。ジュースの強い甘みは子どもが分かりやすい味なので、一度経験すると、どうしてもそればかり欲しがるようになってしまいます。結果、水やお茶など必要な水分が摂れなくなる恐れがあるので、たとえ果汁100%のジュースであっても、3歳を過ぎるまでは水で薄めてから適量だけ与えることが大切です。
3~4歳になれば、さまざまな消化酵素の分泌が大人に近づく
3~4歳になれば、さまざまな消化酵素の分泌が大人に近づき、多くの子どもは食物アレルギーの原因物質を分解できるように成長していきます。実際に、赤ちゃんのときに食物アレルギーを発症した子どもの5割がこの頃には改善し、さらに小学校に進学する頃には9割の子どもが治っているという事例もあります。そのためアレルギーを発症する恐れのあるフルーツや乳製品を多く含むジュースは、体の機能面から考えても3歳を過ぎてからと理解しておきましょう。
ただし、消化機能が大人に近づくとはいえ、糖質の消化酵素の分泌が大人並みになるのは4~5歳ごろになってから。消化能力が未熟なうちから糖質を過剰に与えてしまうと、うまく消化できずに下痢になる可能性もあるので、たとえ3歳を過ぎても少量ずつから与えていくことをおすすめします。
幼児が1日に摂取してもいいジュースの量
原料である野菜や果物の栄養素は、ジュースに加工する過程で減少してしまいます。そのためジュースを飲むときは、栄養補給が目的というよりも、味を楽しむために飲むことが中心になります。そのため与える量を考えるときは、食事で摂取しきれなかったエネルギーを補う「おやつ」という位置づけで適切な量を決めていきましょう。
子どもに与えるおやつの目安は、各年齢の1日のエネルギー必要量から3食分の食事を引いた、残りの10~20%ほどです。つまり1~2歳は1日100~150kcal、3歳以上は1日200kcal前後がおやつに適したのエネルギー量になります。子どもの食事量は性別や体型で個人差があるので、こちらの数字はあくまで参考程度に覚えておき、大切なのはこの目安を大幅に越えるほどの量を与えないことです。
例えば3歳の子どもに与えるおやつの場合、クッキー2枚(約100kcal)、もしくはカステラ1切れ(約100kcal)と組み合わせるとすれば、市販のりんごジュース200ml(約100kcal)で合計200kcalほどになります。つまりコップ1杯分のジュースなら、おやつとしてお菓子と一緒に与えても大丈夫な量になります。それ以上飲みたがる場合は、水やお茶を与えるようにして、パパ・ママが適切なおやつの量をコントロールしていきまよう。