『猛暑を乗り切るためのスタミナ食材♫大蒜(ニンニク)の魅力』~子どもと一緒に食を考える #41

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『猛暑を乗り切るためのスタミナ食材♫大蒜(ニンニク)の魅力』~子どもと一緒に食を考える #41

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

そろそろ梅雨の季節も終盤を迎え、今年も猛暑の真夏がやってきます。夏バテ防止のための食材はいろいろありますが、その代表格は何と言ってもニンニクでしょう。ステーキや焼肉の香味、餃子の具材、そしてペペロンチーノなど多種多様なメニューに使われ、私たちの健康維持の強い味方になってくれています。今回は、滋養強壮に欠かすことのできない香辛野菜・ニンニクの魅力に迫ります。

薬用植物としての利用からスタート

日本には8~9世紀頃に中国から伝わってきたとされるニンニク。当初は強壮作用を持った薬用植物として紹介されました。長年、野菜という位置づけではなく食べる薬のような存在で人々の暮らしに浸透していったようです。江戸時代中期の書物「農業全書」(1697年)には、「暑気にあてられぬよう毎日すこしずつ食すべし……、様々効能多き物なり、人家必ず作るべし」と絶賛し生産をも奨励している様子が記されています。

現在のような香辛野菜として用いられるようになったのは、第二次世界大戦後のことになります。牛肉の消費量が格段に増えたことや、イアタリアンから中華料理まで元来、ニンニクを香辛料として使っていた料理がポピュラーになっていく過程で、薬用植物として認識されていたニンニクの位置づけが料理の味と栄養に高い効果を出す香辛野菜へと変わっていったのです。

薬用にもなる高い栄養価

ネギの仲間でもあるニンニクには、同種特有の硫黄化合物・アリインが多く含まれています。この成分は、切ったり潰したりして空気に触れると、酵素の働きによりアリシンに変化します。アリシンには強い殺菌作用や血栓を予防してくれる効果があります。さらにアリシンはビタミンB1と結合すると、疲労回復効果の高い成分・アリチアミンに変化します。もちろんニンニク自体にもビタミンB1はしっかり含まれているので、この点が滋養強壮に役立つ野菜とされる理由になっています。

このほかにも、皮膚を健やかに保つのに有効なビタミンB6や、造血作用がある葉酸、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出させ高血圧予防に役立つカリウムも含んでいます。健康に役立つ栄養満載のニンニクですが、逆に薬効が強いため、その刺激で胃を傷めてしまうことがあるので、食べ過ぎは禁物です。1日の摂取量としては、生なら1片、加熱するなら2~3片くらいを目安にしてください。

臭い対策には牛乳が良いってホント?

香辛野菜として活躍するニンニクの香りは細胞を壊すことで発生します。そのため切り方によって強弱が現れます。ニンニクの繊維に沿って縦に切る場合より、繊維を断つように横に切った方が、香りは強くでます。さらに細かくしたみじん切りでは、より強い香りが立ち、最も激しくなるのがすりおろしです。ただ香り成分でもあるアリシンは揮発性のため、時間を置かずに素早く使うことが大切です。

香辛料として食欲を刺激してくれ、滋養強壮に夏バテ防止にも役立つニンニクの唯一の難点は、食後のあのニンニク臭です。これは、臭いの成分でもあるアリシンが血流に乗って全身に回るからなのです。そうなる前に臭いの元を絶つのがポイントで、その決め手が牛乳と言われています。

ニンニクを使った料理を食べる時に一緒に牛乳を摂ると、牛乳のたんぱく質が臭い成分のアリシンを素早く包み込み、アリシンが胃で吸収されることを未然に防ぐ効果があります。何よりも肝心なことは同時に摂ること。食後に牛乳では、先に食べたニンニクが胃で吸収が始まっており手遅れになるので注意が必要です。牛乳が苦手という方には、緑茶でも同じ効果が期待できるので、一度、試してみてくださいね。

お子さんにもオススメのマヌルパン

家族みんなで夏バテ防止のためにニンニク料理をと考えても、お子さんには刺激が強いからとメニューに悩むパパ・ママも少なくないでしょう。そんな時にオススメの品がマヌルパン。一昨年くらいから日本でも見かけるようになった韓国発・話題の調理パンです。

砂糖を加えた甘いクリームチーズとガーリックバターをサンドした甘じょっぱさ満載で、お子さんも無理なく食べれるパンなんです。昨夏から各ベーカリーショップや大手コンビニでも商品化されているので、買い求めやすくなっているのでぜひ探してみてください。買ってきたマヌルパンを電子レンジで少し温めて、家族みんなで楽しみながら夏バテ対策も兼ねましょう。もちろん、一緒に飲むドリンクには牛乳をお忘れなく。

【参考文献】

※『野菜~野菜の知識と美味しい食べ方』|株式会社枻出版社2016年刊

※『からだのための食材大全』| 株式会社NHK出版2018年刊

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