露地物のとうもろこし(スイートコーン)が食べ頃を迎えています。フルーツのような甘さとみずみずしさが魅力で、子どもから大人まで高い人気を集めている野菜ですが、その栄養についてはあまり注目されていないようです。そこで今回は、スイートコーンが持つ栄養価とおいしさについて徹底解剖します。
北海道が代表的な産地
スイートコーンは全国で約15万トンの出荷量があり、そのうちの約40％を北海道が占めています。以下、千葉県(約10％)、茨城県(約7％)と続きますが、圧倒的な産地は全国の1/3以上を占める北海道といえます。スイートコーンの栽培は寒暖差の激しい気候が適していますが、日中の気温が高すぎると糖度が奪われてしまいます。夜の気温がとても低く、日中は暑すぎない北海道の気候は、甘いくておいしいスイートコーンを栽培するのに最適な地だったのです。その北海道ではハウス栽培と露地栽培とふたつの栽培方法があり、ハウス栽培は7月上旬～下旬に旬を迎え、露地栽培は8月上旬～9月下旬、まさに今が旬、食べ頃なのです。
おいしいスイートコーンの選び方
スイートコーンはとても鮮度が落ちやすい野菜なので、時間が経つほどおいしさが減ってしまうので注意が必要です。売場で選ぶときは、できるだけ鮮度の良い採れたてのものをチョイスするのがポイントです。皮付きと皮なしがある場合は、鮮度の落ちにくい皮付きのものを選びましょう。そして皮付きのスイートコーンは、ひげが濃い茶色になっているものが甘く熟しおりお勧めです。また、ひげと粒の量は比例しているので、フサフサなものほど粒が多いので覚えておきましょう。
スイートコーンの栄養素(1)
みずみずしいスイートコーンには、エネルギー源となる炭水化物(糖質)や、整腸作用をもつ食物繊維が豊富です。そのほかみも、ビタミン･ミネラルといった健康維持に役立つ栄養素が含まれています。
野菜のなかでも特に炭水化物を豊富に含むスイートコーンは、いも類のじゃがいもよりも多く、エネルギー源となる糖質は100gあたり13.8gも含んでいます。糖質は不足するとエネルギーが不足し疲労感や集中力の低下につながるおそれがありますが、摂り過ぎは肥満の原因となるため適量の摂取が大切です。
スイートコーンには食物繊維も豊富に含まれており100gあたり3.0gの含有量があります。これは｢不溶性食物繊維｣で、腸を刺激してぜん動運動を活発にさせ、便通を促すはたらきがあります。腸内環境を整えてくれるのでママをはじめ女性にお勧めです。
スイートコーンの栄養素(2)
カリウムはミネラルの一種で、細胞の浸透圧を保つはたらきがあり、ナトリウムと相互に作用しています。スイートコーンに含まれるカリウムは100gあたり290mgです。カリウムはナトリウムの再吸収を抑制して、体外に出しやすくする作用があります。そのため、塩分の摂り過ぎを調整するのに役立ちます。
水溶性の栄養素であるビタミンB1は、糖質の代謝にかかわるビタミンです。スイートコーンには100gあたり0.15mgのビタミンB1が含まれています。糖質からのエネルギー産生を助けるはたらきがあるため、糖質を多く摂る人、エネルギー消費が多い人などは意識して摂る必要があります。
ビタミンB2は糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝にかかわっていますが、特に脂質の代謝を助けるビタミンです。スイートコーンには100gあたり0.10mg含まれています。また、皮膚や髪の毛などの細胞の再生や、発育促進に欠かせないもので｢発育のビタミン｣とも呼ばれ、子どもにも不足しないよう摂りたい栄養素です。また胎児の正常な発育に重要な葉酸も含まれており、妊婦さんにもお勧めの野菜といえます。
スイートコーンの保存方法は？
先述したように、鮮度の落ちやすいスイートコーンは生での保存に向きません。家に帰ったら、茹でる･蒸すなどの下処理をしてから保存してください。下処理したスイートコーンは、冷蔵･冷凍のどちらでも保存できます。空気に触れないように全体をラップで包み、冷蔵保存で3～4日、冷凍保存ではフリーザーバッグに入れて約1ヶ月が目安になります。冷凍するときは固めに茹でておくと、解凍後の食感がよくなります。すぐに下処理できないときは、皮付きのままキッチンペーパーに包んで冷蔵庫で保存しましょう。生の状態でフリーザーバッグに入れて、冷凍保存も可能です。
家族でスイートコーンを楽しみましょう
スイートコーンの魅力一杯の栄養、いかがでしたか。通年手に入るコーン缶と違い、生で買える露地物のスイートコーンは、この時期だけの旬の恵みなのです。選び方や保存方法を参考に、旬のスイートコーンのおいしさを家族みんなでたっぷり味わってくださいね。
【参考文献】
※『野菜～野菜の知識と美味しい食べ方』｜株式会社枻出版社2016年刊
※『からだのための食材大全』｜ 株式会社NHK出版2018年刊