『夏野菜の魅力に迫る(ⅰ) 茄子』~子どもと一緒に食を考える #38

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『夏野菜の魅力に迫る(ⅰ) 茄子』~子どもと一緒に食を考える #38

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

この時期になると茄子やトマト、胡瓜などの夏野菜がスーパーや八百屋で中心を占めるようになります。味覚のおいしさだけでなく、夏野菜は火照った体のクールダウンを促してくれる嬉しい効能も持っている素敵な食材です。そこでパパ・ママから子ども達に夏野菜の魅力を伝えて貰うべく、シリーズで夏の魅力ある野菜をご紹介していきます。その第1回は古く奈良時代から栽培が始まっていた歴史ある「茄子」を取り上げます。

インドが原産地の茄子、その種類は1000種以上

原産地はインド東部といわれており、ナス科ナス属に位置する茄子は紀元前には既に中国に伝わっていました。温帯では一年草ですが、熱帯地域では多年生となり、世界中で独自の品種が育てられ、今では1000種以上が栽培されています。日本にも中国から古い時代に伝わり、奈良時代には栽培が始まっていました。

そして平安時代の書物には、その栽培方法や漬物の作り方まで記載されるほど、日本人の食卓に親しまれていた野菜なのです。その中でも初なりの茄子は非常に高価な食材とされ、「一(いち)富士、二(に)鷹、三(さん)茄子」という諺にも残るほど珍重されてたようです。

千両ナスから水ナスまで多様な日本の茄子

現在の日本の食卓に最も多く流通しているのは「千両ナス」と呼ばれる中長品種になります。果皮が薄くに果肉も軟らかいので、焼きナス、野菜炒め、揚げナスなど数多くの料理に使われています。その他にも日本全国で栽培されている茄子は、他の夏野菜と比べても圧倒的に多くの品種があり180種類を超えています。大きいタイプでは西日本や東北で栽培されている全長20cm以上の「長ナス」や、九州を中心に栽培されている全長40cm超の「大長ナス」などがあります。一方、小さいタイプでは全長5cm前後の「小(こ)ナス」が有名で、主に北陸や甲信越で栽培され、冬季の保存食として漬物加工用として重宝されています。

筆者が育った関西では大阪・泉州地方の「水ナス」が今では生でもおいしい高級茄子としてメジャーな地位を築いています。しかし東京への出荷が始まった当初は煮たり焼いたりと火を通して食べてきた茄子を生で食べることに違和感があり、首都圏では全く馴染んでもらえず、大赤字の状態でした。やがてお試しに配った先から、「おいしかった」との口コミが拡がり、徐々に評判を得て、認められるようになったのです。今では全国各地から、「水ナス」の漬物を通販で求める注文が多数届いています。

高血圧や生活習慣病予防に役立つ茄子の栄養

栄養の面から茄子の魅力を見ていきましょう。まず第一には豊富に含んでいるカリウムで、体の熱を逃がし夏バテ予防の効果が期待できます。果肉には抗酸化力の強いクロゲン酸も含まれており、高血圧や生活習慣病の予防に役立つとともにダイエット効果もあると注目を集めています。またコリンという水溶性ビタミン様物質は、胃液の分泌を促し消化を助ける働きがあるので、夏場の食欲不振や夏バテからの回復食にも用いたい食材です。

魅力一杯の夏野菜「茄子」を家族で楽しみましょう

 

茄子は、どの品種でも味にクセがなく果肉がスポンジのような構造なので、他の食材の旨味や出汁を吸収しやすく味が染み込みやすい特徴があります。これからの季節は、「茄子と挽き肉のキーマカレー」や「麻婆茄子」などバラエティな料理で茄子のおいしさを家族みんなで楽しんでみてくださいね。次回の夏野菜は胡瓜の魅力に迫ります、お楽しみに。

【参考文献】

※『機能性野菜の教科書』|株式会社誠文堂新光莉社2020年刊

※『からだのための食材大全』| 株式会社NHK出版2018年刊

 

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