給与が支払われない育児休暇中、お金の不安は給付金・手当で解決できる!

  1. HOME >
  2. HOT >

給与が支払われない育児休暇中、お金の不安は給付金・手当で解決できる!

issey

issey

オウンドメディアのライター歴10年。 「難しいことを、わかりやすく」をモットーにしています。 人材コンサルタントとしての経験もあり。 元キャリアアドバイザーとしての視点を活かした情報を発信していきます。

今回のテーマは、育休中のお金にまつわるお話です。育休中は、仕事に気をつかうことなく子育てに専念することができます。これからパパになる男性にとって、育児休業は欠かせない制度です。その一方で、お金の不安も出てくるのではないでしょうか。

「育休を取得したいけど収入が減ってしまうのでは」

「毎月の暮らしに余裕はなく、育休中に家計が赤字になりそうで不安」

「産休・育児で貯金が減ってしまうのではないかと心配」

結論を言えば、お金の問題は給付される給付金・手当である程度、解決できます。ただし、知っておきたいのは収入のことだけではありません。所得税や社会保険料なども理解しておく必要があります。今回は、パパが育児休暇・育児休業を取得するために知っておくべき、基本的なお金の知識をまとめてお届けします。

育休中の給与は支払われないが給付金と手当は受給できる

育休期間中は基本的に給与は支払われません。パパだけではなく、ママである女性も給与の支払いは発生しないことが多いことを念頭に置いておいてください。なぜなら、給与とは労働した対価として得られる報酬のことを意味するからです。休暇を取得するということは、基本的に勤め先で業務をすることはありません。そのため、育児休暇期間中の給与は支払われないという解釈が一般的です。

しかしながら、給与に代わって受け取れる育児休業給付金と育児休暇手当があります。場合によっては、給料の5~7割の金額が支給されので、それぞれの仕組みを正しく理解して活用できるようにしましょう。

育休中に受給できる給付金と手当まとめ

育休中に受給できる給付金と手当には、どのようなものがあるのでしょうか。給付金は、公的な制度として「育児休業給付金」があります。会社ごとに福利厚生の一環として設けられているのが「育児休暇手当」です。また健康保険や公的年金制度から支給される「出産育児一時金」「出産育児付加金」「児童手当金」があります。これらの給付金・手当をまとめて紹介します。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、労働者が加入している雇用保険から給付金が支給される制度のことです。会社からではなく国からの支援金という扱いになります。育休中の生活に困らないように、受給条件を満たす対象者に対して一定金額が支給されます。ママだけではなく、パパも受給の対象です。また夫婦そろって申請することも可能です。

ただし女性の場合、産後8週目までは産休の扱いとなります。パパに関しては、ママが子どもを出産した当日から1歳の誕生日を迎える前日までの1年間が支給対象です。詳しい受給条件と金額は以下の通りです。

【育児休業給付金の受給条件】

  • 1歳未満の子どもがいること(一定条件で延長も可能)
  • 雇用保険に加入していること
  • 育児休業取得前の2年間の中で、規定の期間を勤務していること(1ヶ月に11日以上働いた月が12カ月以上ある場合は、契約社員・パートでも可能)
  • 育児休業期間中に、1ヶ月に10日以下しか働いていないこと(勤務している場合、休業前の賃金の8割以下であること)

【育児休業給付金の受給金額】

  • 直近6ヶ月:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
  • 休業開始から6ヶ月経過後:休業開始時賃金日額×支給日数×50%

なお、育児休業期間中に賃金が支払われた場合は育児休業給付金が減額される、もしくは支給されない場合(賃金が賃金月額の80%以上)があります。賃金月額が30万円の場合、「30万円×67%=20万1千円」が支給額となります。賃金月額が30万円で、賃金24万円が支払われた場合、育児休業給付金は支給されません。

また、保育園に申請したものの、1歳もしくは1歳6ヶ月に達する期間について、保育園に入園できない場合や、子どもを養育する本人・配偶者のどちらかが死亡・負傷、疾病、傷害などで養育が困難な場合などは、延長申請が可能です。

申請には、育児休業給付金支給申請書や育児休業給付受給資格確認票、休業開始時賃金月額証明書など、会社から指定された必要書類を提出します。育児給付金の支給は、育休開始後2~3ヶ月後が目安です。以後、2ヶ月ごとに申請して、2ヶ月ごとに指定した受取口座に入金されます。

育児休暇手当

育児休暇手当というのは、正式な名称ではありません。そもそも育児休業は公的な制度ですが、育児休暇とは各企業が独自にもうけている社内制度のことをいいます。したがって、会社によって育児休暇の内容が異なります。いわゆる福利厚生の一環として設けられている制度で、育児休暇に関連する手当として導入する企業が増えています。一般的な手当としては、以下が挙げられます。

  • 産前産後通院休暇
  • 出産祝い金・出産育児一時金
  • 子の看護休暇
  • キッズ休暇

育児休業給付金とは違って、年次有給休暇の別枠で有給休暇を取得できたり、一時金として短期間に支給されたりするのが、育児休暇手当の特徴です。育児休暇手当と育児休業給付金は利用する制度によって利用条件や申請手続き、必要書類が異なります。とくに休暇制度は企業ごとに利用条件が違うため、自分が該当するかどうかは事前に確認しておきましょう。該当することがわかれば、必要書類もスムーズに準備することが可能です。

健康保険や公的年金制度から支給される手当

育休中における経済的な支援として、より幅広い視点で見れば、次のような制度も利用できます。

[健康保険から支給される手当]

  • 出産育児一時金
  • 出産育児付加金

配偶者を扶養にいれている男性社員が利用できる制度で、健康保険組合から支給されます。妊娠4ヶ月(85日)以上の方が出産したときは、一児につき出産育児一時金から42万円、出産育児付加金から9万円が支払われます。よく似た制度に「出産手当金」がありますが、こちらの対象は女性のみです。

[公的年金制度から支給される手当]

  • 児童手当金

0歳から中学校を修了する前の児童を養育する家庭に支払われる手当金です。支給額は、3歳未満が一律1万5000円、3歳以上~小学校卒業前が1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円となっています。

育休中の税金・社会保険料

育児休暇中の給付金や手当を紹介しましたが、ほかにも得られる恩恵があります。税金や社会保険料の免除です。所得税や健康保険料や厚生年金保険料は、支出面で大きな負担となります。収入源を確保できても、出費が多ければ、安心して育児休暇期間を過ごすことはできません。ここででは、非課税や免除になる税金と社会保険料の詳細を解説します。

課税対象になる住民税の備えを忘れずに

所得税は基本的に非課税です。育児休業給付金は給与ではないので、支給されていても、課税対象にはありません。出産育児一時金や出産手当金も同様です。しかし住民税は課税対象となるので注意をしてください。前年の1月1日~12月31日までの所得に対して住民税がかかります。お住いの市町村から住民税のお知らせと納付書が、6月ごろに送られてきます。通常、住民税は会社の給与から天引きされていることもあり、納付額の大きさに驚く人も少なくありません。

住民税は、期日までに支払う必要があります。給付金を受け取っていても会社からの給与がない状況で、納付書が届いてから資金を準備するのは大変なことです。したがって、納税する資金は事前に用意をおくことをおすすめします。住民税は、収入金額から給与所得控除や社会保険料控除を引いた金額をもとに計算できます。詳しい税率はお住いの市町村のホームページでご確認ください。育休前に、住民税を計算して備えておくことで不安要素を払拭できるでしょう。

社会保険は免除対象、2022年からは短期育休も対象に

社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)は支払いが免除されます。育児休業の開始月から終了前月までが対象となります。雇用保険も給与に対してかかるので発生しません。

知っておきたいのは、2022年10月から健康保険法・厚生年金保険法が改正され、社会保険の免除に関する条件が緩和されることです。大きな変更点としては、現在対象ではない「2週間の育児休業」も社会保険料が免除になります。父親が育休を取得しやすくするための支援として、今回の法改正がありました。短期間の育休を検討しているパパは、2022年10月以降であれば活用することができます。

子育てに力を入れたいパパは育休取得にも力を入れよう

育児休暇期間中、給与は支払われませんが、育児休業給付金や育児休暇手当、公的手当を受け取ることができます。また、所得税は非課税となり、社会保険料は免除対象となります。このような制度を活用することで、育休中の経済的な不安は解消されるのではないでしょうか。また、育児休暇に関する制度は企業によって特徴があり、大きく異なります。子育てに力を入れたい将来のパパは、各企業の育児休暇制度や福利厚生の内容をしっかりと確認しておきましょう。

次回は2022年4月以降、男性の育児休暇が義務化されるため、この法改正について詳しく解説をします。

-HOT, パパの仕事
-, , , , ,