もうすぐイースター(復活祭)です。イエス・キリストの復活を祝う祭事で、キリスト教ではクリスマスと並ぶ重要な行事として、日本でも徐々に話題になってきています。イースターではカラフルな卵(イースターエッグ)とウサギがそのシンボルとして、この時期には世界中で注目を集めます。そこで今回は、私たちの食生活に欠かせない食材でもある卵にスポットを当てながら、イースターとの関係にも迫ります。
2022年のイースターは4月17日
イースターは「春分の日以降、最初の満月の日の次に来る日曜日」とされているので、毎年日付が大きく変わります。今年は4月17日ですが、来年(2023年)は4月9日、再来年(2024年)は3月31日とクリスマスと異なり3月と4月を往ったり来たりするのです。
イースター(Easter)の名称は、春の女神エオストレ(Eoster)に由来するといわれ、陽の恵みに感謝する春の祭りとキリストの復活のイメージが結びついたと考えられています。陽の恵みをもたらすエオストレに因み、太陽が昇る東を「イースト(East)」と呼ぶようになったともいわれています。キリストの復活と春の到来を祝うお祭りがイースターなのです。
生命を象徴する卵、繁栄のシンボルのウサギ
ではイースターに卵とウサギが登場するのはなぜなのかを紐解いていきましょう。卵は生命の始まりを象徴していると考えられ、雛が殻を割って生まれてくる様子がキリストの復活を連想させることから重要なシンボルになったのです。またいつの時代でも卵は比較的手に入り易い食材であったことからも、誰もが神の前では平等にというキリスト教の精神にも適したことも要因として考えられています。
一方、ウサギは子どもをたくさん産むことから、豊穣、子孫の繁栄をイメージさせることから「イースターバニー」として、「イースターエッグ」とともに復活祭には欠かすことのできない象徴になっていったのです。
イースターの定番料理「デビルエッグ」
クリスマスはローストチキンやローストビーフなどがお馴染みですが、イースターでは、そのシンボルでもある卵を使った定番料理があるのをご存知ですか。「デビルエッグ(Deviled Eggs)」と呼ばれるもので、茹で卵を半分に切って、黄身を取り出しお好みの具材を加え、マヨネーズやマスタード、パプリカパウダーで味を調え、白身に詰め直すだけのシンプルなレシピです。
その名の由来はピリッとした味つけから来ているとのことですが、キリストの復活をお祝いするイースターにデビル(悪魔)というのも、なんだか?という気もしますが、見た目も可愛く、簡単に作れるので一度試してみてはいかがでしょうか。
卵の保存は尖った方を下に向けて
ここからは、卵自体の話題をお伝えしていきましょう。おうちで冷蔵庫に卵を保存するときに無意識に並べていませんか。栄養豊富な卵ですが、取り扱いを間違うと、雑菌が増殖し劣化しやすくなるので注意が必要です。でも難しくはありません。卵をより長持ちさせるためには、卵の尖った方を下に向けて保存すればOKです。
卵は尖っている方が強度が高く割れにくくなっています。一方、丸みのある方には気室という卵が呼吸するためのエリアがあるので、こちらを上に向けることで中の黄身が安定し、殻に直接触れることがないので鮮度が保たれやすくなるのです。
なぜ卵は常温で売られているのか
おうちでは卵は冷蔵庫に保存しますが、スーパーなどで販売されているときは、大半が常温で並べられています。でもパッケージに付いている説明には「冷蔵保存」と表示されているのはなぜでしょうか。それは結露による傷みを防ぐためなのです。卵の表面には気孔という細かな穴が多くあり、そこを通じて呼吸をしているので、気温や湿度の変化が大きいと卵の表面に結露が生じてしまいます。
結露ができるとそこに雑菌が繁殖し気孔を通じて卵の中に入り込み、傷みが激しくなってしまいます。そのため生産者から流通・販売までの間は温度変化をなくするために常温で扱われているのです。ただ最近では、冷蔵技術の向上や輸送の効率化などから出荷から販売まで冷蔵保存されている卵も増えてきています。そのような卵を買ったときは、可能な限り早く冷蔵庫に保存することをお忘れなく。
鮮度の良い卵をおいしく楽しみましょう
栄養価も高く、比較的安価で購入できる卵は私たちの食生活になくてはならない食材です。イースターの定番料理だけでなく、オムライス、出し巻、目玉焼き、スクランブルエッグ……。食卓に卵が並ばない日は数少ないのではないでしょうか。それだけに卵の取り扱い方には気をつけて、鮮度の良いおいしい卵を楽しみたいですね。数ある卵料理の中で、筆者のお気に入りは「卵かけご飯(TKG)」なんです。次週公開の「パパのお手軽レシピ#11」では、おすすめのTKGをご紹介しますのでお楽しみに。
【参考文献】
※ 『食の文化を知る事典』| 株式会社東京堂出版2001年刊
※ 『春夏秋冬を楽しむ くらし歳時記』| 株式会社成美堂出版2013年刊