4月は新社会人、新入生、新学期など「新」の言葉があふれる文字通りフレッシュな季節で、もちろん食卓にも、新ごぼう、新玉ねぎ、新しょうがなど収穫されたばかりの旬の食材が並びます。なかでもこの時期のおすすめは「新じゃが」。あの瑞々しく爽やかな香りを持った野菜から春の喜びを感じる人も多いのではないでしょうか。そこで今回の食のお話は「新じゃが」の魅力と、家族で楽しむ時の注意点などをお伝えします。
新じゃがは桜前線と同じように北上します
じゃがいもの産地といえば全国総生産量の約80%を占める北海道をイメージする人が多いようですが、現地ではちょうど今から作付けが始まる頃で収穫はまだまだ先になります。この春に食卓を賑わすのは鹿児島県や長崎県など九州で作られたじゃがいもで、11月~1月に作付けし、3月~5月にかけて収穫され、「新じゃが」として楽しまれているのです。
その後は、関西で6月頃に収穫され出荷に、関東では7月に、そして北海道では8月~9月にと桜前線と同じように北上していきます。産地を追いかければ春、夏、初秋と年3回も旬が楽しめるのが「新じゃが」の大きな魅力の1つです。
購入後はなるべく早く、そして皮ごと食べましょう
「新じゃが」は収穫して貯蔵されず、スグに出荷されるのでフレッシュ感満載ですが、その分、日持ちが1~2週間と短いことを理解しておく必要があります。購入後は、なるべく早く食べ切ることが肝心と覚えておきましょう。そして皮ごと調理し、皮ごと食べるのが何よりのポイントです。
じゃがいもは皮の近くに栄養成分が多く含まれている野菜ですが、一般のじゃがいもは皮ごとの調理には向いていません。しかし、「新じゃが」は皮も薄く皮付きでの調理が可能で、その方が風味も損なわず鮮度の高いおいしさが楽しめ、栄養もしっかりと摂ることができるのです。“肉じゃが”に代表される煮付や“じゃがバター”など濃い目の味付の料理が、水分が多く瑞々しく爽やかな香りを持つ「新じゃが」にはマッチしています。“皮付きのフライドポテト”もおすすめですね。
調理の前に“芽”と“皮”をしっかりチェック
皮ごとおいしく食べれる「新じゃが」ですが、芽が出ている場合は要注意です。ソラニン・チャコニンと呼ばれ神経に悪影響を及ぼす毒素が芽に含まれているといわれています。うっかり食べてしまうと、吐き気、下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどを引き起こすおそれがあるので、しっかり取り除いて調理するようにしましょう。特に、子どもにが食べる料理の際は、充分に注意を払う必要があります。
また皮が緑化している場合は、芽に含まれているソラニン・チャコニンが「新じゃが」全体に拡がっているサインなので、残念ですが食べない方が賢明です。そうならないためにも、早めの消費を心がけるようにしましょう。そしておうちでの保存は新聞紙などに包み、冷暗所におくのがおすすめで、特に日光を浴びると発芽を早め緑化してしまうので気をつけてください。ただし、低温にも弱いため冷蔵庫での保管もNGと覚えておくとママにも喜ばれますよ。
豊富なビタミンCは疲労回復と美容に役立ちます
フレッシュなおいしさが楽しめる「新じゃが」のもう1つの魅力はビタミンCが豊富なことです。疲労回復や美容に効果があるとされる栄養素をたっぷり含んでいるので、パパ・ママにとっても嬉しい食材です。ただし、ビタミンCは水溶性のため水気が多い調理に使うと、せっかくの栄養素が流れ出てしまうのでレシピに注意を払うことをお忘れなく。その点からも水気を使わない電子レンジ調理のレシピがおすすめです。
そこで次週公開の「パパのお手軽レシピ#12」では、電子レンジでお手軽に作れる『肉じゃが』をご紹介します。魅力の食材「新じゃが」をおいしく栄養満点で楽しめるレシピをご期待ください。
【参考文献】
※ 『ジャガイモの大百科』|農山漁村文化協会2020年刊