『春の味覚!筍(たけのこ)の魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #35

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『春の味覚!筍(たけのこ)の魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #35

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

温室栽培や冷凍保存の発達で、私たちの食卓は年間を通して数多くの野菜にあふれています。その反面、季節感が薄れてきているのも事実です。その中で、筍(たけのこ)は春の到来を告げてくれる貴重な旬の野菜といえます。古くは「古事記」や「日本書記」にも記述が見られるほど食材としての歴史を持つ筍は、日本の食文化を支えて来た野菜の1つです。今回は、春ならではの味覚・筍に迫ります。

竹の若い芽を掘り起こしたのが筍

春の味覚を代表するといわれるタケノコ。その漢字は、竹かんむりに旬と書いて「たけのこ」と読みます。竹の旬とは、まさに言い得て妙ですね。筍は、帽子をかけて忘れて帰ると、翌日には手が届かなくなってしまうと言われるほど成長が早い植物で1旬(約10日間)で竹になってしまうとのことです。

そんな竹の、土の中にある若い芽を掘り起こしたものが筍と呼ばれ、成長点に当る部分を食材として用いられます。油断しているとおいしい食材から、スグに竹になってしますので、まさに一瞬の春の恵みともいえるでしょう。

クワとノコ以外、機械も農薬も不要

日本では「古事記」や「日本書記」にも記述が見られるほど歴史のある食材ですが、その理由は親竹を刈るためのノコと、筍を掘るためのクワさえあれば、誰でも、何処でも栽培が出来た簡便性にあったのです。大型の農機具や農薬など何も無かった古の時代から、筍栽培は脈々と受け継がれて来ています。

「雨後の筍」といわれるように、栽培には水を多く必要とする植物ですが、豊富な水源を持つ日本の風土はピッタリでした。果樹のような剪定の手間や、病害虫に悩まされることも無いため農薬も不要と自然との共生だけで収穫が可能となる大地から恵みだったのです。

食物繊維の代表格、筍の魅力ある栄養価

古くから私たちの春の食卓を彩って来た筍ですが、栄養学が未熟だった戦前までは、魅力ある食材との評価はされなかったようです。しかし昭和後半から平成にかけて健康食への注目が高まると、研究も進み、筍は「折り紙つきの健康食品」、「旬の筍を食すと万病に効く」など評価が一変しました。

高い評価を得るようになった筍の栄養価の代表は、豊富に含まれる上質の食物繊維です。この食物繊維は不溶性なので腸内までしっかり届き、腸内環境を整えるとともに大腸がんを予防する効果があります。またカリウムも多く含んでいるので、体内の余分なナトリウムの排出を促進してくれるので、高血圧予防効果も期待できるのです。おいしさだけでなく、私たちの健康にも役立つ筍は、まさに春の宝物といえるでしょう。

筍の水煮が便利

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素敵な春の恵みである筍ですが、食材として用いる時の難点は、独特のえぐみを素早く処理する必要があることです。若い芽を掘り起こした直後から、えぐみはどんどんと増えていくため、可能な限り早くアク抜きをしなければなりません。一般的にはたっぷりの水に米ぬかと唐辛子を入れて、筍を茹でて、水にさらすことでえぐみを消します。

ただ多忙なパパキャリ世代のパパ・ママにとって、筍の下処理の時間を作ることは、なかなか大変です。そこでおすすめするのが、アク抜きをされた形で販売されている「筍の水煮」を利用することです。この時期はスーパーにも並んでいるので、手軽に筍料理に使えますよ。

春の味覚を家族みんなで楽しみましょう

木の芽和え、若竹煮、天麩羅、炊き込みご飯…、旬の筍をおいしく楽しむレシピは数多くあります。遥か昔から日本の春の食卓を彩ってきた筍の魅力を、ぜひ家族みんなで楽しんで、パパ・ママから子どもたちにおいしい日本の食文化を伝えてあげてくださいね。来週公開予定のレシピ「ママと乾杯~パパのアイデアおつまみ~」でも、筍のレシピをご紹介しますのでお楽しみに。

【参考文献】

※『新特産シリーズ・タケノコ』|社団法人農山漁村文化協会2010年刊

※『からだのための食材大全』| 株式会社NHK出版2018年刊

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