『冬の健康野菜・大根をしっかり食べましょう』~子どもと一緒に食を考える #3

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『冬の健康野菜・大根をしっかり食べましょう』~子どもと一緒に食を考える #3

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

今では年中お目にかかる大根も、本来の旬はこの時期、冬が本番です。大根役者や大根足などあまり良い意味ではない表現に使われることも多いようですが、侮ってはいけません。栄養が豊富で寒い季節に嬉しい煮物料理などに重宝され、家族の健康を支え、味覚も楽しませてくれるすばらしい食材なんです。この記事では、そんな大根の魅力に迫ります。

日本人と馴染みの深い野菜の代表格

大根の歴史は古く、6000年前の古代エジプトではミラミッド建設の労働者の食糧などに用いられ、やがて中国にわたり世界各地に広まる過程で日本にも伝わったといわれています。正倉院文書の「奉写二部大般若経銭用帳」(762年)に初めて大根という記述が登場します。江戸時代には飢餓対策の作物として積極的な栽培が進み、品種改良もかなり試みられ、その栽培は全国に広がりました。江戸の練馬村で栽培された練馬大根をはじめ、三浦大根、守口大根など各地域の名前で呼ばれる多くの地大根が生まれました。やがて安定した品質で栽培できる青首大根が生産者の人気を掴み、地大根は次第に減り、今では私たちが食べる一般的な大根の地位を占めるようになりました。

主な大根の種類

現在、私たちの食卓を賑わせてくれる主な大根の種類をご紹介します。

青首大根(あおくびだいこん)

北海道・千葉県・徳島県などが主な産地ですが、全国各地で栽培され日本で流通する大根の90%近くを占める品種です。私たちが大根と聞いて思い浮かべるのが、この青首大根になります。産地によって栽培・出荷時期が異なるおかげで年中、旬を食べることができます。ふっくらとした円筒形で水分を多く含み、サラダやおろしなどの生食から、煮物、焼き物までさまざまな食べ方で楽しめます。

祝大根(いわいだいこん)

奈良県の伝統野菜のひとつで、長さ約20~30cm、直径は3cmくらいの細い大根です。しっかりとした肉質で正月のお雑煮用大根として関西で人気があります。その細く長い形と、輪切りにした際の切り口が真ん丸が「家庭円満」につながるということから、この名が付けられたました。1年を通して唯一の出荷時期である12月下旬に一斉に収穫され関西の正月を彩っています。

聖護院大根(しょうごいんだいこん)

京都府の伝統野菜のひとつで、蕪のような球形が特長。2kg近い重さがあり、肉質は細かく辛みも少なくほんのりした甘みが感じられます。冬の京を代表する食材として煮物やおでんなどで楽しまれ、最近では京野菜というブランド価値と球形が人気を呼び、東北から九州まで各地で栽培されるようになりました。

桜島大根(さくらじまだいこん)

鹿児島県の伝統野菜で、文字通り桜島で栽培されています。火山灰と粗い砂利が混ざった土壌で栽培されるのでたくましく育つのが特長で、平均10kgと日本の大根の品種の中でも格段に大きいサイズになります。中には20kgを超える特大品も収穫されることも......。地元では収穫された大半が切り干し大根やお漬物などの加工食品になりますが、蕪のように柔らかく煮崩れしないのでふろふき大根などにもおすすめです。

家族の健康に役立つ大根の効能とは

冬の健康野菜と呼ばれる大根には、消化酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)をはじめ、カリウム、ビタミンCなど身体に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。

ジアスターゼは胃腸の消化を助け、その機能を高めてくれます。脂分が多い肉料理の時に大根を一緒に食べることで消化が促進され、胃もたれなどを防ぐのに効果的です。ただジアスターゼは熱に弱いため、消化促進の効果を求める場合は、サラダや大根おろしなど生で摂取するのがポイントです。

カリウムは利尿作用を促進しナトリウムを排出してくれるので塩分の摂りすぎを調節する効果があります。ついつい摂りすぎてしまいがちな塩分は、むくみなどを引き起こす原因になるので むくみが気になる方は積極的に大根を食べましょう。

ビタミンCには酸化防止作用があり、体内で活性酸素によるダメージから細胞を守るのに役立ちます。またコラーゲンの生成を助けたり、メラニン色素の沈着を抑えてくれるので肌の老化、しみやそばかす、日焼けなどの肌対策にも有効です。

おいしい大根の選び方

では家族で大根をおいしく楽しむために、良い大根の選び方をご紹介します。まず第1のポイントは重さに注目です。持ったときに表面に艶と張りがあってずっしりと重い大根がおすすめです。第2のポイントは、太くまっすぐに伸びている大根がベストです。左右に変形していたり、二股に分かれているものは栽培時の土壌に問題があった可能性があるので避けてください。ひげ根が長く伸びているのは古いものになるので見落とさないように。また葉がついている時は鮮やかな緑で、活き活きしているものを選ぶようにしましょう。

栄養素にこだわるなら皮ごと生食で

寒い季節は大根もおでんや煮物でおいしく楽しむことが多くなりますが、先にご紹介した健康に役立つ効果を期待する場合は、生食を心がけるようにしてください。そしてジアスターゼなどの栄養素は皮の周りに多く含まれるため、皮ごと食べるのが効果的です。大根おろしも、きれいに洗ってから皮ごとおろすようにしてください。お鍋を囲む機会も増えるこの時期は、ポン酢などにも大根おろしをたっぷり入れて食べるのがおすすめです。

大根をおいしく食べて健康に

冬到来とともに大根もおいしさが増してきます。この記事でお伝えしたポイントで良い大根を選び、家族皆でおいしく食べて健康にも役立ててくださいね。

【参考文献】※『たべもの起源辞典』|東京堂出版2003年刊

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