秋の味覚を代表する「栗」は、何と言ってもやさしい甘みとホクホク感が魅力です。モンブラン、栗きんとんなどのスイーツから栗ご飯まで、私たちの食欲の秋を彩ってくれる食材です。加えて、ダイエットや便秘対策に役立つ成分を含むなど、豊富な栄養も兼ね備えているのです。今回は、その栗の魅力に迫ります。
主に4種に分類される栗
栗は、ブナ科クリ属の落葉樹になる果実の総称になります。世界中にいろんな種類がありますが、大きく分けると日本栗、中国栗、ヨーロッパ栗、アメリカ栗の4つに分類されています。日本で栽培されている栗の大半は、山野に自生する芝栗を品種改良したもので、種類や産地によって異なりますが、早いもので8月中旬から収穫がはじまり、9月~10月頃に最盛期を迎えます。
日本栗の主な品種は、一番ポピュラーな筑波栗、早生種の代表・丹沢栗、ブランド栗として有名な丹波栗の名称をもつ銀寄栗、栗の王様とも呼ばれる利平栗などがあります。海外物では中国栗は天津甘栗としてお馴染みですね。ヨーロッパ栗は、主にスイーツ作りに重宝されており日本ではマロンの呼び名で通っています。
アメリカ栗は先住民の時代から、食料や木材として大切にされてきましたが、1900年代初頭から菌による病気が蔓延し、北米中の栗の木が壊滅の危機に瀕する事態になりました。幸い現在では、病原菌に耐性がある中国栗との交配改良を進められており、その復活が待たれています。
栗の素晴らしい栄養①
では栗の素晴らしい栄養についてご紹介しましょう。まずは食物繊維、この成分は人が持つ消化酵素では分解できず、消化・吸収はされません。しかし腸内でプレバイオティクスとして利用され、腸内環境を整える手助けをしています。そのほか便秘を対策したり、血糖値の急激な上昇を抑えたりなど、さまざまな効能があるので、パパにもママにも積極的に摂り入れて欲しい成分になります。ゆで栗には100gあたり、食物繊維が6.6g含まれています。
続いてビタミンB1、こちらは糖質の代謝を促し、エネルギーを作る助けをしてくれます。脳は糖を主な栄養源としているため、その正常なはたらきにも関与する成分になります。また、皮膚や粘膜を丈夫にする効能もあるので家族みんなの健康に大切な栄養といえます。ゆで栗には100gあたり、ビタミンB1が0.17mg含まれています。
栗の素晴らしい栄養②
そしてママの健康と美容にとって大切な栄養素も栗は豊富に含んでいます。その代表の1つがビタミンC。こちらは皮膚や細胞のコラーゲン合成に必要な栄養素です。肌の健康に作用するだけでなく、骨や血管など、さまざまな場所で細胞と細胞をつなげる役割があります。そのほかに、鉄の吸収を促進したり、免疫力を強化したり、抗酸化作用もあり、ママに不可欠な成分になります。本来ビタミンCには加熱により壊れやすいという性質が。しかし、栗に含まれるでんぷんによって、損失がほとんどないという特徴があります。栗には100gあたり、ビタミンCが26mg含まれています。
妊娠中のママに積極的に摂って欲しい栄養素が葉酸です。この成分は核酸やたんぱく質を体内で生成する過程や、細胞を作る過程ではたらく、体を作るうえで重要な役割をはたしてくれます。葉酸は細胞を増やしたり、成熟させたりすることに関わるため、胎児が成長するために重要な栄養となるのです。栗には100gあたり、葉酸が76μg含まれています。
ダイエットにはゆで栗や渋皮煮を
栗には前述したとおり、便秘対策に役立つ食物繊維や、むくみ対策に役立つカリウムといったダイエット中には嬉しい栄養が含まれています。ただカロリーは低くはなく、質量も多いため食べすぎには注意が必要です。そのためダイエット中には甘露煮ではなく、ゆで栗や渋皮煮で食べるようにしましょう。とくに栗の渋皮にはポリフェノールが含まれているので、ビタミンCやポリフェノールを積極的に摂りたい場合は、皮ごと食べる渋皮煮がおすすめですよ。
秋の味覚の王様・栗を家族で楽しみましょう
秋の味覚の王様・栗の魅力!いかがでしたか。ママの美容と健康に役立つ栄養素も豊富で、ダイエットにも効果が期待できる食材です。もちろんスイーツとしての魅力も満載ですから、家族それぞれの目的に合った食べ方で、楽しんでくださいね。
【参考文献】
※『からだのための食材大全』|株式会社NHK出版2016年刊
※『くらしに役立つ栄養学』|ナツメ社2021年刊