この時期に旬真っ盛りの果物といえば林檎(りんご)ですね。「ふじ」や「つがる」などの品種はみなさんもお馴染みと思いますが、実は日本のりんごは約1,000種類、海外の品種を合わせると、なんと25,000種類以上の品種があるようです。 その中から気候や風土、消費者の嗜好に合わせて、次々と品種改良が行われ、今、市場に出回り私たちが目にするのはわずか20種類ほどなんです。今回は、厳選されたおいしい林檎(りんご)にスポットをあて、その魅力に迫ります。
りんごの主な産地と旬の時期は?
りんごは、主に東北地方で多く作られていますが、 なかでも青森県は日本全体の約6割を占める一大産地になっています。青森県のりんごは、9月頃から収穫されるので、9月から12月にかけてが旬となります。そして最もおいしい時期が11月頃と言われています。その青森県に次ぐ第2位の生産地は長野県になります。国内全体の約2割のりんごが作られていて「シナノスイート」や「シナノゴールド」など、信州ならではのブランドがあります。こちらは10月頃から収穫され始め、10月後半から11月末頃までが旬とされています。
このように全体の約80%のりんごが、今の時期に旬真っ盛りを迎えているのです。11月は日本のりんごが一番おいしい時と覚えておきましょう。
りんごの素晴らしい栄養①
「1日1個のりんごで医者いらず」という諺があるように、りんごには私達の健康に役立つ素晴らしい栄養がたくさん含まれています。その代表的な栄養素をご紹介していきましょう。
まずは抗酸化物質として注目されているポリフェノールです。この成分は、老化や免疫低下の原因となる「活性酸素」を取り除く作用が期待できます。りんごに含まれるポリフェノールのなかで、とくに豊富なのが「プロシアニジン」で、緑茶や赤ワインから摂れるポリフェノールより抗酸化作用が強く、ママの美肌効果にも活躍してくれますよ。
次は水溶性食物繊維です。水に溶けやすいこの成分は、小腸における栄養吸収の速度を緩やかにする作用があるため、食後の血糖値の上昇を抑えるはたらきがあります。血糖値が気になるパパに積極的に摂って欲しい栄養素ですね。また、大腸内では善玉腸内細菌の餌となり、腸内環境を整える作用も期待できるので便秘解消にも役立ちます。
りんごの素晴らしい栄養②
そして、ミネラルの一種であるカリウムも豊富に含んでいます。この成分は、細胞内液の浸透圧や体液のpHバランスを一定に保つ作用があるので、ナトリウム(塩分)の取り過ぎの際には、排出を促してくれます。塩分過多によるむくみ防止に役立ちます。りんご100gあたりにカリウムは120mg含まれています。
4つ目はビタミンCです。このビタミンは体内で合成できないため、食事からしっかり摂ることが大切です。貧血対策をするには鉄を摂取する必要がありますが、鉄は吸収されにくい性質があります。そこで役に立つのがビタミンC。鉄を吸収しやすい形に変化させることで、吸収率を高めるはたらきがあるといわれています。貧血気味の女性には心強い栄養素となります。りんご100gあたりに6mg含まれています。
りんごの栄養を効率良く摂る食べ方は
このような素晴らしい栄養素を豊富に含むりんごですが、その食べ方には注意が必要です。りんごに含まれるビタミンCやポリフェノールのプロシアニジンは、熱に弱い性質があり、加熱するとこれらの栄養素が減ってしまい、せっかくの有益な栄養素の摂取が十分に出来ない可能性が生じます。りんごの栄養素を余すことなく摂取するには、りんごを生のまま食べることです。調理の手間もなく有益な栄養素をしっかり摂れる生食がオススメになります。
また、りんごは皮をむいて食べるより、皮ごと食べるほうが栄養価が高くなります。ポリフェノールは皮の部分に豊富に含まれているため、皮ごと食べるのがベストです。ただ皮ごと食べるときに気になるのが、りんごの表面にワックスのような油分がついていないかという点です。このりんご表面のつくベタベタしたものはワックスではなく「油あがり」といわれる自然現象なんです。りんご自身から作り出されるもので、熟すにつれて現れるものになります。ワックスではないとはいえ、皮ごと食べるときには汚れを落とすためにしっかりと洗ってから食べるようにしてくださいね。
おいしいりんごの見分け方は?
では、おいしいりんごの見分け方をご紹介しましょう。さきほどの「油あがり」という現象が起きたりんごは、熟しているりんごの証となります。「油あがり」があり、香りの強いものがオススメとなります。加えて太い軸のものを選んでください。その軸の先端が緑色のものが、鮮度の良い証拠になりますよ。重さや色見からは手に取った時にずっしり重く、お尻のくぼみまでムラなく色づいているものを選ぶのがオススメです。
味のお好みによる選び方もご紹介しておきましょう。甘いりんごがお好きな方は色づきを必ずチェックしてください。濃い色づきのものよりお尻まできちんと色づいているものを選んでください。逆に酸味のあるりんごがお好きな方は、まだ緑が残るものがオススメですよ。
家族みんなでりんごを楽しみましょう
旬真っ盛りのおいしいりんごのお話いかがでしたか。ママの美容に、パパの健康に役立つ栄養が豊富な果物は、実は赤ちゃんの離乳食にも重宝します。りんごは離乳食初期の5〜6か月ごろから食べられます。食物繊維やカリウムなど栄養も豊富で積極的に赤ちゃんにもあげたい食材です。初めてりんごを食べさす時はは、新鮮なもの選んですりおろし、他の食材と同じく、加熱してから与えてましょう。ぜひ、家族みんなでおいしいりんごを楽しんで医者いらずで過ごしてくださいね。
【参考文献】
※『からだのための食材大全』|株式会社NHK出版2016年刊
※『くらしに役立つ栄養学』|ナツメ社2021年刊