『食卓の心強い味方♫白菜の魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #95

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『食卓の心強い味方♫白菜の魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #95

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

スーパーなどで年中見られるため季節感が無くなっている白菜ですが、本格的な旬は、まさにこれからの季節なんです。寒い日に嬉しい鍋物には欠かせない野菜ですし、比較的、価格も安定しているので家計にもやさしい心強い味方といえるでしょう。今回は、これから旨さが増してくる白菜の魅力に迫ります。

白菜は、意外と新しい野菜?

白菜のルーツをさかのぼると、地中海沿岸に自生していた植物に行きつくとみられています。それが紀元前に中国に伝わり、現地の野菜と交わることで様々な種類が生まれました。白菜もそのひとつで、7世紀頃、華南のパクチョイ(今の青梗菜)と華北のカブが交雑して誕生した「ニウトウソン」という野菜がルーツとみられています。

その頃から日本にも、何度か伝えられていましたが、食用として認知されだしたのは明治以降になります。日清・日露戦争で中国大陸に出征した日本人兵士たちが、中国各地で白菜を食べて、その味を知り、日本に種を持ち帰ったのがきっかけといわれています。ただ明治時代は、安定的に生産する技術が確立されておらず、大正時代になって宮城県や愛知県で、ようやく安定栽培が定着し普及が進んだのです。

さらに生産量が拡大した第二次世界大戦後は、大根・キャベツに次ぐ、3位の地位を保っています。現在、生産量がもっとも多いのは茨城県で年間約21万トンと、日本全体の約30%を占めています。2位は17万トンの山口県で、この2県だけで全国の半分以上を出荷しているのです。

ビタミンC、カルシウム、鉄分が豊富

これから旬を迎える白菜は、この時季特有の霜に当たるとデンプンがショ糖に変わるため、甘さが一段と増し、そのおいしさは格別となります。そして大半が水分と思われる白菜ですが、ビタミンCやカルシウム、鉄分を豊富に含んでおり栄養価としても冬野菜の中心的存在といえるのです。

冬の果物の代表格の林檎と比べても、これらの成分の含有量は5~10倍を誇っています。風邪の予防にも有効なビタミンCは、白菜350gで1日の必要量を補えるほどなんです。加えて亜鉛の含有量は肉や卵にも匹敵するので、寒い時期に白菜を積極的に食べることが健康促進にもつながると覚えておきましょう。

整腸作用から癌の抑制効果まで

また白菜には胃腸の蠕動運動を活発にして、食欲を増進する働きがあります。これは白菜に含まれている粗繊維の効用によるもので、包丁で切った時のザクッとした感触が粗繊維の多さを表しおり、これが便秘の予防や解消にきわめて役立つのです。冬場の整腸には白菜をしっかり食べることが何よりと言えるでしょう。

さらに白菜には癌を抑制する効果も期待できるという最近の研究結果が報告されています。白菜に含まれるジチオールチオニンという成分が、発がん物質の蓄積を阻害する効果があるとのことです。大半が水分と思っていた白菜が、実は、私たちの健康の強いサポーターだったのです。

白菜の黒い斑点はポリフェノール

今日は鍋にしようと白菜を切ってみたら、白菜に黒い点々が!「もしかして、カビ?」とギョッとした経験を持っている方も多いのではないでしょうか。真っ白な白菜一面に黒い点々が出ているのは、あまり気持ちの良いものではありませんし、食べても大丈夫なのか、不安にもなってきます。

でもご安心ください、カビのようにも見える黒い点の正体は「ポリフェノール」です。病気でもカビでも、もちろん虫でもなく、私たちの身体に良い効果をもたらしてくれる成分なのです。

ポリフェノールとは植物特有の成分で、苦味や渋味、色素の元となるもので、植物が光合成をするときに作り出される成分でもあります。緑茶に含まれるタンニンやブルーベリーに含まれるアントシアニンなどが有名ですね。ポリフェノールの効果は、血圧降下や殺菌作用、そして「抗酸化作用」があります。ですから食べても全く問題はありません。黒い点がある白菜は避けていた……という方もいらっしゃるかもしれませんが、気にせずに安心して食べてください。

旬の白菜を家族で楽しみましょう

水分が多いだけの野菜と思っていた白菜は、実は、私たちの健康を守る大きな味方ということが分かっていただけたのではないでしょうか。これからの季節は、鍋物が食卓に登場する機会も増えることと思います。ぜひ家族みんなでおいしい白菜をたっぷり食べて、おいしく元気にすごしてくださいね。

【参考文献】
※『からだに効く食べもの事典』|株式会社主婦の友社2016年刊

※『旬の野菜手帖』|株式会社枻出版2011年刊

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