『ママも大好き♫さつまいもの魅力に迫る』~子どもと一緒に食を考える #46

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

8月頃から始まったさつまいもの収穫は11月頃まで続きます。そして収穫後、2ヶ月から3ヶ月貯蔵して寝かせることにより、余分な水分が飛んで甘みが増したころに出荷されるので、まさにこれからの時期、10月から1月が食べ頃となるのです。今回は、ママをはじめ女性の大好物さつまいもの魅力に迫ります。

さつまいものルーツは中南米

さつまいもの歴史は古く、1万年位前から中南米で食べられていたとされています。大航海時代の16世紀初頭にふるさと中南米から海を渡り、ヨーロッパ、アフリカ、インド、東南アジア、中国と世界に伝わっていきました。そして日本には中国から1605年に琉球(現在の沖縄県)に渡来し、やがて薩摩(現在の鹿児島県)に根づき、お米の代用品として栽培が盛んになりました。

江戸時代中期に頻繁に起こった飢饉に際して、薩摩藩ではさつまいもが貴重な食資源となり多くの人々の命を救いました。それを知った第8代将軍徳川吉宗は、薩摩から種芋を取り寄せ、青木昆陽に命じて関東一円での栽培を奨励し、それが日本各地へと拡がっていき、全国にさつまいもが普及していきました。当初は中国での呼び名であった「甘藷(かんしょ)」が使われていましたが、関東一円に拡がった際に、薩摩から来たイモということで「さつまいも」の呼び名が定着したようです。実にシンプルなネーミングですね。

魅力一杯のさつまいもの栄養①

では、魅力一杯のさつまいもの栄養価をご紹介しましょう。皮膚や細胞のコラーゲンの合成に不可欠なビタミンCが、さつまいもの代表的な栄養素になります。コラーゲンといえば肌の健康に効果的なイメージが強いですが、皮膚だけでなく骨や血管など体のありとあらゆる場所で細胞と細胞をつなげる役割を担っています。また、ビタミンCは鉄の吸収促進や免疫力の強化、体内に侵入した異物を代謝する酵素の活性化、抗酸化作用による心疾患予防が期待できるなど、さまざまな役割を持つ栄養素です。

ただ、ビタミンCは加熱すると壊れやすくなってしまいますが、さつまいもに含まれるビタミンCは、一緒に含まれるでんぷんによってコーティングするように保護されているので、加熱しても壊れにくいという性質を持っています。美容よ健康に不可欠なビタミンCをおいしく摂るには、焼き芋をはじめとするさつまいも料理が最適といえるでしょう。

魅力一杯のさつまいもの栄養②

さつまいもにふくまれるでんぷんは「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」と呼ばれるタイプで、消化されにくい特徴があります。小腸では消化されずに大腸まで届くので、大腸内の善玉菌のエサとなり腸内環境を整える働きを促進します。豊富に含まれる食物繊維とともに、便秘解消のほか、ダイエットや血糖値の上昇抑制にも効果が期待されます。

その他にも、ビタミンE、βーカロテン、カリウム、カルシウムなども含み、ほんとうに栄養価の高い野菜なのです。加えて皮部分にも、抗酸化作用があるポリフェノールが含まれているので、よく洗って、皮ごと食べるのがおすすめです。

おすすめの品種「鳴門金時」と「安納いも」

では、さつまいもの数ある品種の中で筆者のお気に入りをご紹介しておきましょう。まずは「鳴門金時」。ホクホク系品種は、東日本では「紅あずま」、西日本では「高系14号」が主流を占めています。その高系14号を品種改良した、徳島県で栽培されるさつまいものブランド名になります。皮はムラのないキレイな紅色で、加熱前の果肉はクリーム色。 加熱すると黄色くなり、ホクホクとした仕上がりになります。やさしい甘みが特徴の品種で、焼き芋からスイーツまで関西、四国を中心に高い人気を誇っています。

続いて「安納いも」。主な産地は鹿児島県種子島で、かつて第二次世界大戦中、インドネシアのスマトラ島に出兵していた兵隊が現地の芋を持ち帰り、安納地域で栽培するようになったのが始まりだといわれています。
今まで栽培していたさつまいもよりも甘く、ねっとりとしたその食感はたちまち人気となり島中に広まっていきました。そうして栽培されていた地域の名で呼ばれるようになったのです。安納いもの人気が高まり始めた時期に、各地で栽培が試みられましたが、種子島の気候風土で作らなければ本当においしくはなりませんでした。それがかえって本場、種子島の安納いもの評価を高めたともいえるでしょう。ホクホク系とは違ったシットリ系の魅力を表す代表的な品種です。

家族で旬のさつまいもを楽しみましょう

秋から冬にかけて、売り場には数多くのさつまいもが登場してきます。それに因んで10月13日は「サツマイモの日」と制定され、旬のさつまいもを生産地から売場まで積極的にPRも行われるようです。ぜひこの機会にホクホク系からシットリ系まで、それぞれの品種のおいしさを家族皆で楽しんでみてくださいね。

【参考文献】

※『サツマイモの世界』|株式会社現代書館2017年刊

※『からだのための食材大全』|NHK出版2018年刊

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