時間外労働とは?働くパパなら知っておきたい知識(後篇)

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時間外労働とは?働くパパなら知っておきたい知識(後篇)

ヒヤマココロ

ヒヤマココロ

小学生と保育園児を育てるワーママ。家事・育児・仕事を両立させる大変さを知っているからこそ、パパとママの家事育児バランスを考えた記事づくりを目指しています。子どもの幸せを叶えるためにも、身近な問題からひとつずつ一緒に解決していきましょう。

働くパパのうち、ほとんどの人が時間外労働を経験しているのではないでしょうか。職場では「仕事が残っているから」「今日やっておかないと」という声も聞かれ、定時で帰るには課題が山積みのように感じます。このような問題を解決するため、日本では近年『働き方改革』という長時間労働を是正する動きが加速化しているのです。

そこで前回は、働く時間の定義や時間外労働の法律について説明しましたが、今回はさらに深掘りして、労使協定や働き方改革の取り組みについて紹介します。労働環境が変わりつつある今、パパ自身が社会の変化に対応できるよう知識を深めましょう。

『36協定』とは?概要と労働環境での必要性を理解しよう

会社勤めのパパなら『36協定』という言葉を耳にしたことがあるはずですが、その内容まで理解している人は意外と少ないものです。まずは法律概要とその必要性についてしっかり理解し、労働における正しい知識を身に付けましょう。

36協定とは?法律の概要と目的を知ろう

『36(さぶろく)協定』とは、原則認められていない時間外労働や休日労働を、会社(使用者)と社員(労働者)が締結することで可能にするための労使協定です。正式名称は『時間外・休日労働に関する協定届』といい、労働基準法の第36条を根拠にした協定書であるため『36協定』といわれています。

以下の事例が生じる見込みが立ったとき、会社と労働者は事前に36協定を締結しなければいけません。

  • 労働時間が1日8時間・1週間に40時間を超過する場合 ※時間外労働に該当
  • 法定休日に労働する場合 ※休日労働に該当

これらの基準は労働基準法で定めてあるため、特別な理由がない限り遵守しなければいけません。しかし、会社と社員の双方合意のもと36協定を結び労働基準監督署へ届け出れば、特別措置がはたらき上記範囲を超えた労働が可能になるのです。

ちなみに、36協定に効力をもたせるには、以下の手続きが必要となります。

  • 労使間で書面による協定を締結する
  • 労働基準監督署へ届け出る

ただし、届出が受理されたからといって、超過労働がいくらでも可能になるというわけではありません。時間外労働にも上限があるため、正しい勤怠管理のもとで働かなければいけないのです。

36協定締結にともなう上限規制

労使間で36協定を締結した場合、労働者は一定範囲内であれば時間外労働が可能になります。また、万が一、その範囲を超える労働が必要になった場合は、新たに『特別条項付き36協定』を締結すれば、特別な事情に限り時間外労働の延長が可能になるのです。ただし延長にも上限があるため、以下の図を参考にして法律で定められた条件範囲を理解しておきましょう。

労働者の働きすぎは健康障害につながるほか、過労死という最悪のケースも起こりうるため、時間外労働の上限が法律でしっかり定めてあります。倒れるまで働くなんて、あってはならないことです。自分がどのくらい働いているのか、ちゃんと法律の範囲内で収まっているのか、パパ自身が把握しておくことが大切です。

もしルール違反があったらどうなるの?

万が一、36協定に対するルール違反があった場合、企業や労務管理を担当する現場責任者には以下罰則のどちらかが課せられます。

  • 6カ月以下の懲役
  • 30万円以下の罰金

※労働基準法109条に基づく

このような事態が起きた場合、企業は監督官庁から厳しくとがめられ、決して「知らなかった」では済まされません。36協定は、パパを含む全労働者の健全な生活を守るための法律で、その意義を理解しておく必要があります。自身の会社が時間外労働にどのような対応を取っているのか、就業規則雇用契約書でしっかり把握したうえで勤務することが大切です。

なぜ時間外労働に上限規制が導入されたのか

企業に対して時間外労働の規制が厳しくなっているのには理由があり、その背景には厚生労働省が進めている『働き方改革』が大きく関わっています。そもそも働き方改革とは、時代の流れとともに変化する労働者のニーズや課題を見つめ直し、より多様で柔軟な働き方を選択できる社会構築を目標に掲げた改革です。また、この改革を推進していくにあたり、2018年には『働き方改革関連法』が公布され、働き方改革の基本方針を策定したり、各種労働関連の法律を改正したりする動きが本格化してきました。

働き方改革関連法では、以下3つの軸に関連した法改正が進んでいます。

  1. 年次有給休暇の時季指定
  2. 時間外労働の上限規制
  3. 同一労働同一賃金

各取り組み内容については、以下の図を参考に考えていきましょう。

働き方改革は、労働者の視点に立ったときに見える長時間労働や不当な評価制度への不満を解消し、今後のキャリアビジョンを描きやすくするための魅力的な職場づくりを目指しているといえます。そのためにも、長きにわたり日本で問題視されてきた長時間労働の是正は、職場環境を整えるほか、労働者の健康維持離職の抑制にも必要な対策だったのです。

残業や休日出勤が減れば、プライベートな時間を大切に過ごせますよね。パパと家族が一緒に過ごせる時間も増え、メリハリをつけた働き方で仕事への意欲も向上するなど、今まで以上に明るい未来が想像できる人も多いはずです。働き方改革にともなう時間外労働の上限規制は、決して他人事ではなく、パパと家族の人生にも関わる大切な政策だという理由が分かりますよね。

労働条件と向き合い家族との時間を守れる働き方を

こうした改革にともなう法改正により、日本の労働現場では2020年4月から時間外労働の上限規制が施行されています。とはいえ、この取り組みにしっかり向き合い、職場環境の改善に努めている会社かどうかは、会社ごとに定めてある就業規則を見ないとなかなか判断しづらいものです。ましてやパパが転職を考えているのであれば、検討段階において企業の内情を知るのは、ほとんど難しいでしょう。

その際は転職エージェントのサポートを利用し、家族との時間を大切にできる、労働条件のいい会社探しをスタートしてみてください。パパ1人の力で転職活動をするよりも、企業の知りたい情報が聞けたり、内定を勝ち取るための客観的なアドバイスをもらえたりするのでおすすめです。家族の明るい未来と賢い転職をつかむためにも、エージェントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
「時間外労働の上限規制」厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」厚生労働省

「働き方改革特設サイト」厚生労働省

「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)」厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

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