パパにも気をつけて欲しいこと
待ちに待った赤ちゃんとの生活がはじまると、パパも育児の大変さを実感したり、仕事と家庭の両立で悩むこともあるでしょう。慣れない子育てに悪戦苦闘が続く産後は、ママと育児のことを話していたつもりが意見がすれ違い、口論になってしまうことも少なくありません。しかしほんの少しの気づいと工夫で、ママとの言い争いを避け夫婦二人三脚で、多忙な産後を乗り切ることが可能になってきます。ここでは、産後のママの心身が回復するまでの間に、パパにも気をつけて欲しいことをお伝えします。
アドバイスよりもママの気持ちを聞くようにする
育児中心の生活になる産後のママは、言葉の話せない赤ちゃんと多くの時間を過ごすようになります。とくにパパが仕事に行き、ママは日中ひとりで育児をするようになると、産前よりも「誰かに話を聞いて欲しい」という思いが強くなります。そしてパパが帰宅すると、その日あったことをしゃべりたいという気持ちが爆発し、話が止まらなくなってしまうこともあるのです。
しかしこのとき、話の途中で理論的なアドバイスをしても、「違う!」と言われてしまう可能性があります。男女の思考には違いがあり、男性は問題解決志向で成果や効率を重視するのに対し、女性は共感性志向で感情や人間関係を重視します。話の内容に対し、的確なアドバイスが欲しいのではなく、最後まで聞いて共感して欲しいのです。ママの話はなるべく遮らず「大変だったね」と気持ちに寄り添うことを重視してください。
パパ・ママだけで家事や育児をこなそうと考えない
産後のママは、赤ちゃんのお世話をする以外なるべく寝て生活し、極力身体を休める必要があり、生活をサポートしてくれる人の存在が必要になります。そのため、ママが回復するまでの間はパパが家事を担当する場合も多いでしょう。しかし、いままで分担していた家事を一人でこなそうとすると、負担が大き過ぎて仕事との両立が難しくなってしまう場合もあります。ただでさえ、乳児期の赤ちゃんはお世話だけでも大変です。パパ・ママだけですべてをこなそうとは考えず、祖父母のような頼れる家族に育児を手伝ってもらうことも考えましょう。
また頼れる人が近くにいない場合でも、自治体が行っている産後育児支援などのサポートや民間のベビーシッター、家事代行サービスを利用して、夫婦二人の負担を減らすという方法もあります。ママと相談して、自分たちに適したサポートやサービスを利用していきましょう。
ママが睡眠時間を確保できるように協力する
新生児の時期は、1日9回もの授乳があり、深夜でも起きて赤ちゃんのお世話をしなければなりません。すると、ママは寝不足の日が続き、心と身体の不調も起こしやすくなってしまいます。健康でいるには、十分な睡眠が必要不可欠なので、ママの睡眠時間を確保できるようサポートすることも重要です。母乳育児の場合は授乳が終わったタイミングで赤ちゃんを預かり、次の授乳まで寝られるように配慮するなど、こまめに睡眠できるように協力していきましょう。
パパ自身も頑張り過ぎに注意しましょう
慣れない育児や赤ちゃんに合わせた不規則な生活リズムから、ママだけでなく、パパも知らず知らずの間にストレスが溜まり、気持ちが不安定になってしまうことがあります。男性はお腹の中で赤ちゃんの存在を感じてきた女性と違い、出産後、短時間でパパになることを自覚していきます。そのため突然の変化に対応できず、心のバランスを崩してしまうことがあります。また、仕事と家庭・育児の両立を意識し、すべてを完璧にこなそうと頑張り過ぎてしまうあまり、心身ともに不調に陥る場合も考えられます。
パパも、ママと赤ちゃんのためにとすべてを一人で背負い込むような思いを捨て、不安なことはママや身近な人に話をしてアドバイスを受けるようにしましょう。先輩パパの話を聞くだけでも心が落ち着き、前へ進めるようになてきますよ。目標とする父親像を高く設定せず、柔軟に対処していくように心がけましょう。パパ自身も気負わず、頑張り過ぎないことが何より大切と覚えておいてくださいね。次回は、この「マタニティセミナー」の締めくくりとして、ママと赤ちゃんを家に迎えてからの生活と、赤ちゃんへの接し方についてお伝えします。
【参考文献】
※『最新! 初めての妊娠・出産新百科mini 』|株式会社ベネッセコーポレーション2021年刊
※『家族を笑顔にするパパ入門ガイド』|株式会社池田書店2022年刊
監修
ゆう助産院 今井智圭子院長
母子のことを第一に考え、自然なお産、楽しい育児を全力でサポート!がモットーの助産院。
明るくアットホームな環境で、頼りになる助産師が、妊産婦さんの心に寄り添って応援してくれます。