『食の雑学講座!秋刀魚のトリビア5選』~子どもと一緒に食を考える #91

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

秋の味覚の代表のひとつ「秋刀魚」!近年、漁獲量が減り、食卓に上がる機会も少なくなっていたようですが幸い、この秋は豊漁のようです。おいしい秋刀魚を楽しみながら秋の訪れを感じる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、食の雑学講座として秋刀魚のトリビアをご紹介。家族みんなで秋刀魚について詳しくなりましょう♫

謎に包まれた秋刀魚の生態

私たちには昔からなじみの深い秋刀魚ですが、その生態はいまだ多くの?に包まれているのです。その寿命はおよそ2年で、成魚になった平均的なサイズは30cm程度ということは明らかになったものの、海の中でどのように生活しているのか、産卵時期はいつなのかなど、詳しいことは未だに特定されいない、まさに謎多き魚とされています。

一大産地としては北海道がお馴染みですが、他にも青森県や岩手県などの太平洋沿岸で水揚げが盛んです。8月下旬から漁獲が始まる秋刀魚は、夏の間は北海道の北東部分に生息し、徐々に南下してきます。一番おいしいとされる時期は、南下を始めた9月初めから11月頃まで、まさに秋本番の時期に秋刀魚は旬を迎え、この時期の味覚の代表を担っているのです。

秋刀魚だけ漢字一文字ではないのは何故?

大半の魚類の名前は、魚へんの漢字一文字で表されるものが多いのは皆さんご存知ですよね。お寿司屋さんの湯のみや手ぬぐいなどで、魚へんの漢字がずらーっと並んでいるのを見た方もいることでしょう。鮪(まぐろ)、鰯(いわし)、鯖(さば)、鯛(たい)、鰤(ぶり)など身近な魚の多くはそうなのですが、さんまは秋刀魚と漢字三文字が当てられているのは何故だと思いますか?

秋刀魚の語源については諸説ありますが、その細長い姿から「狭真魚」と書いて「さまな」と呼ばれていた、とする説が有力です。「踏みつける」という言葉を言いやすく「踏んづける」と崩すのと同じように、「さまな」も時を経て「さんま」に変わってきたのです。

春を代表する魚は鰆(さわら)と書くので、秋刀魚も魚偏に秋を付ければと思いますが、これか鰍(かじか)という魚になっており、江戸時代には魚偏に祭をつけて「鰶」と書いて秋刀魚を表していたようです。そもそも漢字の母国である中国には秋刀魚を食べる文化がなかったため、秋刀魚を表す漢字が作られなかったことにあるとされています。そして中国では「鰶」は「このしろ」という魚の名前となっていたので、日本では「このしろ」は冬の魚ということで、「鮗」の文字が当てられるようになったのです。その後、時代を経てさんまには秋刀魚の三文字が定着するようになり、「鰶」はもとの「このしろ」を表すようになり、今では「鰶」と「鮗」の両方が当てられています。秋刀魚のおかげで「このしろ」は2つの漢字名を持つようになったのも興味深い話ですね。

秋刀魚の素敵な栄養①

ここでは、秋刀魚が持つ豊富な栄養についてご紹介しましょう。まずはたんぱく質、こちらは筋肉や臓器の構成成分であり、酵素やホルモン、免疫物質としてもさまざまな役割を担っています。不足すると免疫力や体力が低下してしまうおそれがあるため、毎日欠かさず摂取したい栄養素です。

続いてDHA・EPA、DHAは免疫反応の調整、脂肪燃焼の促進などに効果があり、記憶力や言語能力にも良い影響を与えると言われています。EPAは血管や血液を健康に保つのに役立つ栄養素です。これらの脂肪酸は体内で合成できない必須脂肪酸なので、食事から積極的に摂るように心がけたい栄養素です。

そして、こちらはヘモグロビンの構成成分として酸素運搬を担っており、貧血対策に役立ちます。秋刀魚のように動物性食物に含まれる鉄は「ヘム鉄」と呼ばれ、野菜などに含まれる非ヘム鉄よりも体内に吸収されやすいのが特徴です。ママをはじめ女性の貧血対策にも秋刀魚は有効と覚えておきましょう。

秋刀魚の素敵な栄養②

ママに嬉しい栄養素ビタミンAも秋刀魚は豊富に含んでいます。ビタミンAは、目や皮膚の粘膜の健康維持や抵抗力を強くするのに役立ちます。油に溶けやすい性質のため、炒めたり揚げたりする調理法がおすすめです。抗酸化作用の効能は、しわやシミの要因になる活性酸素から体を守ってくれることです。ママの美容のためにも秋刀魚は活躍してくれますよ。

さらにアミノ酸や脂肪酸の代謝、たんぱく質や核酸の生合成に効果のあるビタミンB12や小腸でのカルシウム吸収を促し、丈夫な骨づくりをサポートしてくれるビタミンDも含んでいる秋刀魚は秋の味覚の代表とともに、秋の健康食材の代表とも言えるでしょう。

おいしい秋刀魚の見分け方

では売り場でおいしい秋刀魚を見分けるコツをお伝えしておきましょう。1つ目はふっくらと太っていること。頭の付け根あたりから背中にかけて膨らんでいる秋刀魚が、脂がのっている証拠です。2つ目は目の澄み具合。 濁りがなく、透明なタイプが鮮度がいい証です。

3つ目は口口の先端が黄色いものが良いでしょう。水揚げから徐々に色素が薄くなっていくので、そこもポイントです。 4つ目はお腹の張り具合。内臓は一番デリケートな部分なので、しっかりと張りがある秋刀魚が鮮度がいい証ですよ。

家族みんなで秋刀魚を楽しみましょう

秋刀魚の面白話、いかがでしたか。最初にお伝えしたようにこの秋は秋刀魚は豊漁とのことなので、お手頃の価格で良い秋刀魚が売り場に並んでいるはずです。ぜひ様々なレシピで秋刀魚を家族みんなでおいしく食べて楽しんでみてください。そしてパパ・ママから、お子さんに、秋刀魚の興味深いお話を聞かせてあげてくださいね。

【参考文献】
※『四季のさかな 話題事典』|株式会社東京堂出版2009年刊
※『日本の高級魚事典』|株式会社三賢社2022年刊

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