『子どもにしっかり教えておきたい節分の由来とは?』~子どもと一緒に食を考える #51

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『子どもにしっかり教えておきたい節分の由来とは?』~子どもと一緒に食を考える #51

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

もうすぐ節分です。今年、2024年は2月3日になります。邪気祓いとして「鬼は外、福はうち」と言いながら豆まきをしたり、恵方巻を食べたりする家庭も多いことでしょう。でも、なぜ節分に豆まきをしたり、恵方巻きを食べるのかという由来を知っているパパ・ママは少ないようです。そこで今回は、節分の意味と各行事の由来をご紹介します。しっかり理解してお子さんに教えてあげましょう。

節分とは季節の分かれ目?

節分といえば2月の立春の前日というイメージがありますが、元々は節分という言葉には「季節を分ける」という意味があり、古来から立春・立夏・立秋・立冬の前日のことを全て節分と呼んでいました。その中でも、立春は暦の上では1年の始まりであり、その前日は1年を締めくくる日として重要視されていたので、立春の前日のみが節分と呼ばれるように変化していったようです。

今年の立春は2月4日のため、節分は2月3日となり、大半の年も同様で節分=2月3日のイメージが強いようですが、立春が2月4日からずれる年は当然、節分もずれてくるのです。最近では2021年の立春は2月3日だったので、37年ぶりに2月3日ではない2日が節分の日でした。

邪気払いの豆まきは中国からの伝来?

節分の行事として誰もが知っている「豆まき」の由来は、中国から伝わった「追儺(ついな)」「鬼払い(おにやらい)」と言われています。宮中の祭事として確立されたものが仏寺に広まり、やがて庶民にも浸透していったのです。季節の変わり目に起きやすい災害や病気を鬼に見立てて追い払う儀式として無くてはならない行事となったのです。

そして豆を使う理由ですが、日本では豆には穀霊や宿るので悪霊を封じる力があると考えられていたことや、鬼の目に魔目(まめ)をぶつけることで邪気を払い無病息災を願うという想いも込められていたようです。

正しい豆まきの方法とは!

まく豆には福豆という炒った大豆が使われるのが基本です。一部の地域では落花生などをまくところもありますが、大半の地域では炒った大豆になっています。注意すべき点は、生の大豆はNGということ。豆まきの後で拾い忘れていた豆から目が出ると縁起が良くないとされているのでお忘れなく。そして鬼=邪気は夜にやってくるとされていますので、豆まきは夜に実施するのがオススメです。

古くからの伝統では豆をまくのは一家の家長の役目とされていましたが、今では親子・家族皆でまくことが主流になっています。加えて、その年の干支に生まれた「年男」「年女」がまくと縁起が良いと言われていますので、家族の中で該当する人がいる年は主役になってまいて貰いましょう。

まき方の基本は、家中の窓や戸ををすべて開け放して、奥の部屋から順番に外に向けて「鬼は外」と言いながら豆をまきます。その後では払った鬼=邪気が家の中に戻ってこないように窓や戸をしっかり閉めてから「福は内」と各部屋に豆をまいていきましょう。

鬼は災害や病気などの邪気を具現化したものですので、本来は鬼の役を誰かが担うは必要ないのです。ただ、節分という行事を家族で楽しむために鬼役を設定するのは問題なく、役に決まりはないので安心して豆まきを楽しんでくださいね。そして豆まきが終わったら豆を食べてくださいね。このとき豆は自分の歳の数だけ、または歳の数より1つ多く豆を食べるとされています。歳の数だけ豆を食べることは「年齢の数だけ福を取り込む」という意味になり、ひとつ多く食べることは「来年も健康であること」を願う意味が込められているのです。

いわしの頭を飾る意味は

節分には柊と一緒にイワシの頭を軒先に飾る伝統もしっかりと根付いています。なぜイワシの頭を飾るのかというと、柊のとげの痛さで鬼を追い払い、イワシの臭いで邪気を寄せ付けないようにするためです。特に焼いたイワシの臭いは異臭が強く、西日本では焼嗅(やいかがし)とも呼ばれ、焼いたイワシを節分に食べる風習も今なお盛んです。

平成以降に盛んになった恵方巻き

近年では恵方巻きを食べる文化も節分では一般的になってきました。起源はいろいろあると言われていますが、恵方とは歳徳神(としとくじん)という神様のいる方向とされています。歳徳人はその年の福徳を司る神様であり、その方角に向かって行事をすると良いとされています。そしてその方角に向かって食べた寿司が恵方巻きと呼ばれるようになりました。

今日の恵方巻のイメージを作ったのは「商業組合が発行した宣伝広告」という説が有力です。1930年代には寿司屋の組合が、1970年代には海苔・厚焼の組合が、恵方巻の由来・ルーツを示すチラシを作っていたそう。そこに記載されていた「昔からの言い伝え」が、しだいに恵方巻のイメージとして広まっていったと言われています。そして平成10年頃からコンビニやデパ地下などで、節分の日に恵方巻きを積極的に販売するようになり、今のように定着していったのです。

今年の恵方は「東北東」

節分の由来と各行事の意味のご紹介、いかがでしたか。毎年、当たり前のように行っていた豆まきや恵方巻きを食べる行事には、古来からの人々の様々な願い・想いが込められていたのですね。今年の恵方は「東北東」になります。ぜひ、パパ・ママはこうした由来や恵方をしっかり理解して、日本の良き伝統・風習をお子さんにも伝えるようにして頂ければと思います。

【参考文献】

※『旬の日本文化』|株式会社KADOKAWA2009年刊

※『暮らしの古典歳時記』|株式会社KADOKAWA2020年刊

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