二十四節気を感じて【冬至】

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

海外に誇れる日本の文化はたくさんありますが、何と言っても四季があることとその季節に合わせた旬の味覚や行事が根付いていることではないでしょうか。そして春夏秋冬はさらに二十四節気・七十二候と分かれ、細やかな季節の移り変わりを感じる大切な目安になっています。日本ならではのこの素敵な季節感を、ぜひ次世代を担う子どもたちにもパパ・ママから伝えて欲しいとの願いから、この特集をお届けします。今回は【冬至】です。

冬至(12月22日頃~1月5日頃)

冬至(とうじ)とは、一年のうちで昼の時間が最も短くなり、夜が最も長い時期の頃を指しています。この機を境に日が伸びていくことから、古くは冬至をもって一年の始まりとされていました。冬至は別名「一陽来復」とも呼ばれます。これは古代中国の陰陽説に基づくもので、夏を陽、冬を陰とし、冬至は陰の極まった時点であるとともに、陽の回復が始まる頃という考えに由来しています。冬至を境に陰から陽に転じていくことから、運気も上がっていく頃ともいわれています。

冬至は七十二候では、初候:及東生(なつかれくさ しょうず)12月22日~25日、次候:麋角解(さわしか つの おる)12月26日~30日、末候:雪下出麦(ゆきわりて むぎのびる)12月31日~1月5日の3つに分かれます。夏になると枯れてしまう靭草が芽を出す頃、ヘラジカの大きな角が抜け落ち生え変わる頃、降り積もった雪の下で麦が芽を出し始める頃という意味になります。

旬のもの

この時期を代表する旬のものと言えば、マグロ、かぼちゃ、柚子などがあります。冬至の頃のマグロは産卵期を迎えるため、たっぷりと脂がのっています。更に甘味や旨味、香りも強くなり非常に良い状態で食通の人々に「冬こそマグロ」と言わしめる人気があります。

かぼちゃを冬至の頃に食べる慣わしは日本ならではの理にかなった食養生といえます。夏に収穫されても冬至の頃まで十分に保存がきき、その豊富な栄養素も保たれています。京都の矢田寺では毎年12月23日に、中風除けや諸病退散を祈願する「かぼちゃ供養」が行われています。

冬至の頃に柚子湯に入る習慣は、江戸時代に始まりました。この日に柚子湯に浸かれば一年間風邪をひかないと言われるほど、柚子には血行を促進して冷え性をやわらげる効果があります。柑橘系の爽やかな香りが心身ともに心地良く解してくれるのです。

季節の行事「おせち料理」

おせちと言えば、古くは節句の料理全般を指しましたが、今では正月料理を表す言葉として定着しています。それも重箱に詰められた料理が定番となっています。元来、正月三が日は台所の火も使わないとする風習から、おせち料理を年の瀬に作り、三が日の食事に充てる意味がありました。保存が効き、かつ味も落ちないようにする必要から、煮汁がなくなるまでじっくり煮込んだ「煮しめ」が中心となりました。そこに新年を祝う意味で縁起物の数の子や黒豆、田作りなどが加わり、家ごとのこだわりや好みでバラエティ豊かな正月料理が生まれたのです。

暮らしの中の楽しみ「年越し蕎麦」

12月31日の大晦日の食の代表と言えば「年越し蕎麦」ですね。江戸時代中期の頃から、毎月末日(晦日)は商人の家では多忙な月末に際し、手軽に食べれる蕎麦を晦日蕎麦として食する慣わしが広まりました。やがて、一年最後の大晦日には商人だけでなく皆が食べるようになり、年越し蕎麦が定着したのです。そこに、蕎麦のように細く長く生きられるようにという願いを込めた縁起物の意味も加わりました。また、蕎麦は他の麺と違って簡単に切り易いことから、災いを断ち切って、良い新年を迎えようとする願いも込められたのです。ぜひ家族みんなで、おいしい年越し蕎麦を楽しんで、素敵な新年を迎えてくださいね。

【参考文献】
※『二十四節気を楽しむ図鑑』|株式会社二見書房2018年刊

※『日本の四季と暦』|株式会社学研パブリッシング2013年刊

 

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