「食物繊維の宝庫♫牛蒡(ゴボウ)の魅力に迫る」~子どもと一緒に食を考える #75

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「食物繊維の宝庫♫牛蒡(ゴボウ)の魅力に迫る」~子どもと一緒に食を考える #75

Terry Naniwa

Terry Naniwa

編集・ライター稼業に従事すること30余年。 子育ては卒業も、新米パパ&ママに先人の教えや 大切な伝統を発信することをライフワークに活動中。 明治、昭和、平成と時をこえて今も息づく暮らしの知恵を 届けます。

牛蒡(ゴボウ)は金平ごぼうや筑前煮など日本の食卓ではお馴染みの野菜ですが、根を食用としているのは我が国の他には台湾や韓国と少数派なんです。ヨーロッパでは新葉をサラダなどにして食べますが根は「パードック」と呼び、利尿や発汗作用のある薬用植物として用いられています。また中国でも牛蒡の種子は漢方薬のひとつとして古くから重用されてきました。今回は、日本で独自の食文化を開いた食物繊維の宝庫と言われている牛蒡の魅力に迫ります。

食用に定着したのは江戸時代

牛蒡の原産地は、中国東北部からヨーロッパに跨るユーラシア大陸北部と言われています。日本には縄文時代に伝来しましたが、当時は薬用として用いられていました。やがて江戸時代になると牛蒡を使った料理が次々と考案され、栽培も盛んになり、食用として広く普及するようになったのです。

現在の主な産地は、青森県・北海道・茨城県・群馬県・千葉県など東日本が中心で1年を通して栽培されています。ただ牛蒡は連作に向かない野菜のため2~3年の間を開けないと同じ畑で作れない性質があるので、生産農家は畑のローテーションが大きな課題となっています。

「滝川ごぼう」と「堀川ごぼう」が代表的な品種

日本で栽培されている牛蒡は長根種と短根種に2種に大別されます。長根種は根の長さが70~100cm程で、「滝川ごぼう」が代表的な品種で歯切れの良さと風味の強さが特徴とされています。

一方の短根種は根の長さが30~50cm程で、京都の伝統野菜にもなっている「堀川ごぼう」が代表的な品種になります。先端がタコ足のように枝分かれしていて中心部に空洞があり、繊維が柔らかく中まで味が染み込みやすのが特徴です。牛蒡の詰め物などに重宝されています。

他には初夏に出回る早生品種の「新ごぼう」があり、こちらは皮が薄く香りも高いのでサラダや揚げ物、煮物から柳川鍋などに欠かせない食材として人気があります。

排便を促進してくれる牛蒡

牛蒡の栄養的特徴はビタミンやミネラルより、何と言っても食物繊維の豊富さにあります。まず不溶性食物繊維ではセルロースとリグニンという成分を含んでおり、これらは大腸の中で水分を吸収し数倍から十数倍に膨らみ、腸のぜん動運動を活発にしてくれるのです。

そう排便を促進してくれる高い効果があるので、便秘気味の人は積極的に牛蒡を食べるように努めるようにしてくださいね。

糖尿病予防にも有効

一方の水溶性食物繊維はイヌリンと呼ばれる成分を含んでおり、こちらは腸内で水に溶けてゲル状になり糖を包み込む働きがあります。そのため小腸で糖の吸収が抑制されるのです。通常だと、小腸から吸収された糖は肝臓に運ばれて中性脂肪の原料になってしまいますが、その糖の吸収が少なくなるため血糖値の上昇が抑えられる効果が期待できるのです。

中性脂肪が増えにくくなり、血糖値を下げる効果があるということは現代の成人病の代名詞でもある糖尿病の予防にも繋がる素晴らしい効能を兼ね備えた食材であると覚えておきましょう。

加熱にも強い牛蒡のポリフェノール

牛蒡にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸やタンニンも含まれています。抗酸化作用を持つポリフェノールにより体内の酸化が抑制されるので、私たちの健康には欠かせない成分のひとつです。特に牛蒡に含まれるポリフェノールはどのような加熱方法によっても、その成分量は変化しないことが実証されているので、揚げても炒めても安心してポリフェノールが吸収できるのです。ホント便利な食材といえますね。

家族でおいしく牛蒡を楽しみましょう

便秘の解消から糖尿病の予防にも効果が期待できる牛蒡の素晴らしい栄養のお話、いかがでしたか。しかも食材として身近に牛蒡があるのは日本ならでは食文化なのです。ぜひ家族みんなで牛蒡をおいしく楽しんで健康に役立ててくださいね。

【参考文献】

※『機能性野菜の教科書』|株式会社誠文堂新光社2020年刊

※『からだのための食材大全』|NHK出版2018年刊

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